ウォーリーなら荒廃した世界、リメンバーミーなら色鮮やかでで華やかな異世界。
そして今作では、透明な海と黄緑色の木々に囲まれた綺麗な南国の島の映画で、ディズニー映画史上一番美しかったと感じました。特に映像が綺麗で海の綺麗さには驚かされました。
主人公モアナの生まれ育つ島の部族？原住民？の人々はある意味常識がある。つまり古来から続く伝統という常識。それに対してモアナは(往々にしてディズニーキャラの主人公は新しい世界へと冒険へ駆り出すかそうならざるをえない状況になり、新しいことを知る)新しい世界＝海への憧れがある。このふたつの対比が見事だなと感じました。
つまり、一般的にいうと親と子の事に当てはめられるからです。子どもが抱く普遍的なやりたいことしたいことなどの願望と夢の象徴が海で代表がモアナ。
そして、この映画自体が夢を抱きそれに近づくために悪戦苦闘する子供の話だと思いました。(十代で抱きやすい繊細かつ壮大な悩み)
つまり隠喩じゃなくてそのままで描いてはいますが、観終わって後に夢に向かって冒険しようと子供は思うしだろうし、後押ししようと親は思う作りになっている、それもそれとなく。少なくとも私はそう感じたのでさすがディズニーだなと感服しました。
また、父親みたく厳格で心配する気持ちもわからんでもないし必要悪だけれども、お婆ちゃんみたく反対せず後押しして見守ってくれる存在が居ることも重要かなと思いました。
他にも、ディズニーの十八番でもあるミュージカル(特にカニのゴージャスな曲がお気に入り)や、ライフオブパイを想起させる幻想的な星空と煌々と光る海面に映し出されたマンタなどの映像面、モーセの十戒パロ、半神半人のマウイが段々心変わりしていく様やニワトリのヘイヘイの存在(土壇場でのあのシーンは良かった)などなどがぎっしり詰まっており正に二重で夢の様な映画でした。
高いエンタメ性としっかりとしたメッセージそしてその両立を完璧なまでに高めた傑作でした。
人生後押し映画といっても遜色ないと思いました。
