革芸之介

ガザを飛ぶブタの革芸之介のレビュー・感想・評価

ガザを飛ぶブタ(2010年製作の映画)
4.0
ユーロスペースのイスラム映画祭2015で鑑賞。

パレスチナとイスラエルの争い。世界中で数多くの戦争、紛争、領土争い、宗教、民族問題が起こっているが、やはりパレスチナとイスラエルの両国の争いはその中でもトップクラス。一生解決しないとも言われているが、世界中の人がこの問題の解決と和平を望んでいるのだ。

本作もそんなパレスチナとイスラエルの問題に深く切り込み、両国の和平を訴えかける社会派映画である。しかし本作の凄いところは、真面目に主張を叫ぶシリアスな側面よりも、ユーモア溢れる、喜劇仕立てになっているところが素晴らしい。

下ネタが多く、精力絶倫なブタちゃんがビンビンになって暴れまくる!

主人公ジャファールは漁師なのだが、ある日海で豚ちゃんを引き上げてしまう。海で豚だと?そう、この時点でシュールなのだが、けっこうファンタジックです。

イスラム教にとって豚は不浄で不潔な存在。イスラム教徒は豚を食べることは禁じられているので、主人公ジャファールは海で豚を引き上げた時も、最初に神への謝罪を口にする。

ジャファールはこの不浄な豚を殺そうと考えるがやはり、できません。そこで思いついたのが、この豚ちゃんを使って金儲けしよう!ここからユダヤ人入植地でのユダヤ人女性との交流が始まったり、豚がバイアグラ食ってビンビンになったり、自爆テロ問題が絡んできたり、いろいろ激しく展開します。

本作はフランス=ベルギー映画で、監督さんもベルギー人。さすがにパレスチナ、イスラエル両国の当事者がこんな映画は作れません。映画の舞台はパレスチナ自治区のガザですが、実際のガザでは撮影なんて無理なので、どうやら本作はマルタ島で撮影されているらしい。

製作者達と同様に我々もこの両国の和平を望んでいる。本作にも多くのパレスチナ人とイスラエル人の交流が描かれているが、しかし実際の両国はやはり憎しみ合っている人たちの方が多い。なので本作を当事者ではない外国人が描く理想主義的な絵空事と批判する人も多いと思う。

うん、実際に私自身も本作のラストのあまりに強引な夢のような謎のハッピーエンドには少し違和感を持ったのも事実である。映画が終わった瞬間、あ~やっぱりこんな平和はない。この映画自体が夢なのだ。幻、ファンタジーだとも感じた。

でも、やっぱり民族、宗教、領土問題を超えてみんなで笑い合いながら、平和を望みたい。私のようなちっぽけな人間は世界の紛争問題に対してまったく無力だが、それでもやっぱり映画を観て、いろいろなことを知り、考え、平和について叫んでいかなきゃとも真面目に思ってしまった。