ウサミ

ルイの9番目の人生のウサミのレビュー・感想・評価

ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)
4.1
小さな違和感が胸をえぐるファンタジック・サスペンス

割とコミカルな切り口で、一見すると「エモーショナルなホームドラマ」のような空気感から、少しずつサスペンスが広がっていく。

生まれてこの方なんども死にかけているルイが抱えた残酷な真実とは?

映画の中で描かれる「違和感」がジワジワと心を蝕み、焦点を絞らせない揺らぎがスリリング。
ルイの精神世界を少しずつ過去を用いてあらわにし、点と点を繋げていくのが見事だった。

退屈に感じたのは、事件の軸となるパスカル医師が非常につまらない人物だったこと。
奇妙な事件に振り回される駒としての役割しかなく、感情移入はできない。
あと、ミスリードと終盤の展開が少し雑というかクールじゃなかったのかな、と思った。

映画は、いわゆる「驚きの真実」みたいなものを描いて終わる。
それが映画のテーマやバックボーンに根付いたものであるのが面白かった。
最後まで、良い意味でのモヤモヤを残しつつ、サスペンス・ドラマとさてまとめ上げられていた。
ウサミ

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