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トイ・ストーリー4のdeenityのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
4.8
これは皆さんもよく声を上げられている通りなんですが、「トイストーリーは3で完結でいいじゃないか」問題。
自分もまったくもってそれに賛同です。この『トイストーリー』は史上最高のエンディングを迎えたと思っているので、その続編ともなるとかなり心配も否めない部分ではありました。

ただ3における疑問点がなかったわけではなく、その一つがボーの突然の喪失。もう一点に関してはネタバレにもなるので後々述べさせてもらうとして、とりあえずまだ未鑑賞の方に言えるのは、「4を見てよかった!」ということ。ボーの件も然り、しっかりと今までのネタを引き継ぎながらも不足していた部分を補完している素晴らしい作品になっていたと思います。何よりファンなら普通に感動すること間違いなしです。



さて、ボーは環境の変化によりかなりワイルドな変化を遂げていました。以前のようにウッディーをただ心配するおしとやかなイメージは一変、ゴリゴリに引っ張っていく逞しい女性に大変身していましたね。昨今の自立した女性を象徴しているように思います。
その背景にはアンティークショップに売られてしまい、おもちゃとしての本来の楽しみである「子どもに遊んでもらう」ということが不可能になり、望んで迷子になる道を選んだということ。つまりは本来の目的を果たすことは難しくても、自分の生き方をどう選ぶか、という非常にシビアなテーマが秘められているわけです。

一方、当のウッディーはボニーのおもちゃになって以降、日の目を浴びず埃をかぶる日々。冒頭の泣けるボーとの別れ、そしてアンディとの別れを経て、今の自分の状況というのはやはり切なくも感じてしまうわけです。
そこにやってきたゴミから作られたフォーキー。自ら捨てられることを望むようなキャラクターのために自分が苦労するのなんて。。でもそういうところを見せないのがウッディーの良いところなんですよね。自分が遊んでもらうことよりも何が大切か、それを一番に考えているからこそ、カッコいいんです。ボニーに喜んでもらうため。そのためなら自分の声帯パーツも差し出す覚悟。そして仲間を見捨てない優しさ。やっぱりウッディーは最高にカッコいい奴だ。

そんなウッディーが自分がどう生きていくかを選ぶ決断をする。ここがまた泣けるんだよな。前作までのおもちゃとしての意義や絆とはまた違い、本作はシンプルにウッディーそのものの生き方、存在意義みたいなテーマがあり、おもちゃとして必要とされるのではなく新たなスタートを踏み出す決断をするシーン。おもちゃだからこうあるべきだ、というのは所詮我々の先入観なのであって、当の本人たちがどう生きるかということに対してはっきり言って文句はない。文句はないけど、やっぱり切なくて、感動せずにはいられません。

補完ポイントとしてはやはり前作ロッツォの扱いですよね。別にそれをされても文句の言えないようなキャラでしたが、少しモヤっとするものが残ったのも事実。その点、本作の敵キャラ・ギャビーに対する扱いは最高でした。前作の補完とはっきりわかるほど、今作は3とかなり近い敵設定だったため、二番煎じ感は少しありましたが、オチとしてはより良く修正してきたあたりはさすがですね。

だからといってやはり3完結こそが最高だったというのは覆りません。でも今までの、言わば「アンディー三部作」から本作は「ウッディーのストーリー」なので、そういう物語として見るとクオリティの高い作品であり、このシリーズでまた楽しませてくれたピクサーには拍手しかないですね。
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