ブエノスアイレス二郎

エクス・マキナのブエノスアイレス二郎のレビュー・感想・評価

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
3.7
大学の講義で内容をかいつまんで観ていて、気になっていた一作。

本作でA24の作品は5作目なんだけど、やっぱりハズさない。なんだろう、光の捉え方、フィルムの質感がやっぱり堪らない。映画における、印象派って感じがする。

本作も例に漏れず光の入り方とか、画面の色が綺麗だったのはもちろんなんだけど、それよりもロケ地が美しすぎた、、、
ジュラシックパーク並みの森林に平原、滝に氷河と、壮大でゆったりとした自然剥き出しのロケ地がたまらなく美しかった、、
きっと高緯度の北欧とかで撮影したんだろうなあ、、

そこに現れる無機質な研究所。
これでもかと生命みなぎる大自然に対して、近未来的で無機質な研究所の対比。
極端に正反対に位置するもの同士の方が、お互いを際立たせるというのが改めてわかる。
たぶん原始的な大自然に佇むAIと近未来空間に閉じ込められた人間という正反対の図を成り立たせるためにも、二項対立を際立たせたんじゃないかな。

そして内容。これもA24作品に特徴的な要素で、とにかくセンシティブで繊細、そんでもって観賞後に浸る余韻を与えてくれる。
本作もそう。AIと生身の人間のやりとりが素敵だったなあ。もし意思を持ったAIがいるとするならば、分かり合える存在でいたいし、そう信じたい。
でもそれと同時に、エヴァのような意思を持ったAIと僕たち人間の違いってなんだろうって考えてしまった。人間の姿をしていて、意思や感情があるAI。それって僕たちと違いはないし、何を持ってAIと人間は隔てられるんだろう。もしかしたら出来ないのかも。
そんな風に考えると、意思を持ったAIの存在はとてつもなく怖いし、人類が淘汰される恐怖も感じる。
クローンもそうだし、意思を持ったAIのような、我々人類に近い、またはそれ以上の可能性を持った存在を作ることは危険だし、人間のエゴに過ぎないと感じた。
ネイサンのように、人間は神にはなれない。あくまでも人間。その一線を超えてしまうと、自ら破滅の道を進むことになると思う。

そういった生命倫理の観点からも、いま一度問題提起をしてくれる作品だと思うので、非常におすすめです

余談ですが、ネイサンがDrakeに雰囲気似すぎてて、個人的にずっとツボでした(特に筋トレとビール飲むシーン)