ブエノスアイレス二郎

アメリカン・ギャングスターのブエノスアイレス二郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

いつものイタリア系マフィア映画や、アイルランド系ギャング映画と違う黒人のギャングを主役にした作品。

いきなりギャングの話とはかけ離れるけど、ベトナム戦争によってドラッグ中毒の廃人が多く生まれたのは初めて知ったなあ。
「タクシー・ドライバー」のトラヴィスや、「ダーティ・ハリー」のスコルピオのように精神的に支障をきたしたり、身体的にダメージを負う人が多かったのは知っていたけど、まさかドラッグ中毒が生まれていたとは。
映画ってただ鑑賞して楽しむだけじゃなくて、知識を得られる部分が多いことも魅力の一つだと思うんですよねー

作中の話に移りますが、ロバーツの私生活をところどころに挟み込む必要あったのかなーって思っていたけど、これはフランクとの対比がしたかったのかな。

仕事に熱が入りすぎて家族に見捨てられたロバーツと、表舞台でビジネスはせずに、日曜は家族で教会に参列するほど家族想いなフランク。
追うもの追われるものの関係である2人の対比関係を際立たせるためにも、あえて対照的な私生活を描いたのかもしれませんね。

フランクが家族を大事にすると言っても、奥さんへの対応はちょっと別。奥さんであるエヴァは、献身的にフランクを支えるものの、幸せな家庭は続かない。
どうしてマフィア映画やギャング映画に登場する女性は幸せになれないのでしょうか。完全な男社会だからっていうのが主な理由だと思うけど、女性は旦那を支えるだけの道具のように扱われていて疑問を感じる。
マフィアやギャングの妻の立場からの作品とかあれば見てみたいなあ。

あと個人的にはラストシーンも好きだなあ
フランクが釈放されるシーンでは、逮捕前の70年代のハーレムの印象と打って変わって90年代のHiphopが流れる、黒人街ハーレムになっていて、時の流れを感じさせる切なさが非常に良かった。