ブエノスアイレス二郎

キング・オブ・コメディのブエノスアイレス二郎のネタバレレビュー・内容・結末

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます


『ジョーカー』を鑑賞してからはや2ヶ月。やっと元ネタの本作を鑑賞できました。

『タクシードライバー』然り、ロバート・デ・ニーロだからこそ狂気じみた役をやり切れたんじゃないかなあと思いました。
あの妙に目が据わっている感じとかトラヴィスそっくりだった気がする。
でも役としては本作のパプキンと『タクシードライバー』のトラヴィスは似ているかもしれないけど、それぞれの目的とか考えは違っていたように感じました。

どちらも承認欲求が元になっているものの、トラヴィスは世間での居場所を得るため、パプキンはどちらかというとリタに認めてもらうために行動していたんじゃないかなあ。確かにパプキンは狂っていたかもしれないけど、目的は一貫していてコメディアンとして成功するよりも、まずは目の前の女性に認めてもらうために、ジェリーを利用していたように思えた。
まあ目的を達成するために手段を選ばないところはイカれているけど(笑)

個人的に本作で1番イカれていると思ったのは、マーシャ。普通に演技からして狂気じみてる。迫力すごいし、本当にあんな感じの一歩踏み外した熱狂的ファンっていそうだもんね。

そして最後にラストが現実か妄想かで分かれると思うけど、個人的には現実だと思っています。
犯罪者でさえも、視聴率獲得のための「商品」として消費してしまう、現代メディアやアメリカ社会への皮肉をスコセッシ監督なりの方法で伝えたかったんじゃないかなって思う。それに『どん底で終わるより、一夜の王になりたい』というパプキンの本望、目的さえも飲み込んでしまう無常さ(まあ願ったり叶ったりだとは思うけど)を表したかったんじゃないのかなあ。

とまあこんな感じであくまで持論を展開してきたわけなんですが、やっぱり観賞後に議論の余地を残してくれる作品って本当に面白いし、盛り上がるからいいなあって思いました。


Better to be king for a night, than a schmuck for a lifetime