のら

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォーののらのレビュー・感想・評価

4.0
シビル・ウォーから始まった第三期アベンジャーズのにしてシリーズ完結編の前編。シリーズ初期から登場していたインフィニティ・ストーンを巡り、シリーズ最大の敵であるサノスがついに登場する。

本作はマイティ・ソー バトルロイヤル(ラグナログ)のラストシーンの直後から始まる。話としては宇宙に散らばった6つのインフィニティ・ストーンを集め、宇宙の維持と継続のために全生命の半減を目指すサノスと、それを阻止する為に立ち上がるアベンジャーズとガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーの戦いを描いている。

しかし本作が非常に特異なのは、一般的なヒーロー映画であればスーパーヒーロー達が悪の野望を阻止するという視点で描かれるが、本作はスーパーヒーローの活躍を通してサノスが何故インフィニティ・ストーンを集めるのか?そしてどうやって集めたのかという話が展開されており、完全にサノスが主人公と言った内容の映画になっている。

特にサノスがインフィニティ・ストーンを集めていく過程を通して、シリーズを通して語られてきた冷血な悪の帝王ではなく、サノスも自ら多大な犠牲を払ってインフィニティ・ストーンを集めていく姿は知性を感じると同時に、シェークスピア悲劇のリア王のようですらある。

サノスのキャラクターだけでなく映画としても完成度が高い。というのもサノスの一派との戦いを描いているガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーシリーズはジェームズ・ガンという作家性の強い監督によって作られているため、アイアンマンやキャプテン・アメリカというアベンジャー勢と作風が違うが、アベンジャーズのシリアスさとガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシーのオフビート感を違和感無く融合させていて、アイアンマン達のいる世界と、ソーやスターロードのいる宇宙のはるか彼方の惑星がちゃんと地続きに感じられるのは、ただただすごい。

終盤ワカンダでの合戦シーンも、単にワチャワチャしているだけでなく、アクションとしても非常に迫力があるし、サノスの絶対的な強さを描くのに効果的に機能している。

従来のヒーロー映画はいかにして悪を阻止するのか。を描いてきたが本作はいかに悪が達成されたのかをヒーローの視点で描かれているのが斬新だし、膨大な数のキャラクターをしっかり描いている点でも非常に完成度の高い映画といえる。
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