ぬ

ブラックパンサーのぬのネタバレレビュー・内容・結末

ブラックパンサー(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

はじめてマーベル作品を映画館で観た。
面白かったのだがちょっと期待しすぎていた感。

ワカンダの街や衣装など視覚的な要素かっこよくて◎、役者さんたち◎、音楽◎、アクション◎、アフリカなまりの英語◎、しかしどうにもストーリーにそんなにハマり切れなかった。
ちなみに原作は読んでいない。

マイケル・B・ジョーダン好きというのもあるのだが、個人的にキルモンガーがビジュアルもキャラも主役級にインパクトがあったから、主人公のキャラクターがかなり霞んで見えてしまった。

というかフィジカル的にもメンタル的にも、もっとこう、強けりゃいいってことでもないけど、主人公ちょっとインパクトが弱すぎるかな…と思ってしまった。
ブラックパンサーのスーツ着用で戦ってるときはかっこいいけどさ…
王の周りをかためる屈強な女性たちのほうがカッコイイし王に向いてんじゃんじゃないかと思っちゃった。

キルモンガーは危険な思想をしてるとしても、一応王座をかけた挑戦を正式に受け入れられ、伝統的な方法を踏襲して主人公とフィジカル対決した上で王になった訳なのに、結局「アイツを王にしたくねぇ」という皆さんの感情論によってボコられてたのがかなり気の毒だと思いました。

主人公の父親がキルモンガーの父親を殺害し隠蔽したことが「王のやることは絶対」だとしてそこまで咎められなかったのだとしたら、キルモンガーが王となったあとにやろうとしたことも咎められる筋合いはなくないか?

もちろん倫理的に危なすぎるからキルモンガーを王にしたくないとか、彼の行動を止めたいという気持ちはわかるんだけど、その解決策があまりにもキルモンガーにとってフェアじゃなさすぎるというか、力技すぎというか、結局そうなってしまうのかぁ…と残念な気持ちになった。
キルモンガーがあまりにもかわいそうで…

まぁ今までそんな倫理観のぶっ飛んだ奴が王座をかけた挑戦をしてこなかったにせよ、王様の決め方に欠陥あるのでは…というのも気になってしまった。
キルモンガーというたかが一人の人間のために国の秩序崩壊しかけてたし、他国に支援云々以前に身内でモメまくって国グチャグチャになるわで、あまりに国として脆弱なのが心配になる。

そういうところ突っ込んで観たらダメな感じの映画なんだろうけど、突っ込めちゃう余地があったので気になりすぎた。
逆にキルモンガーや主人公や父親にそういう複雑な過去を背負わせるのなら、そのあたりをそれなりにもっとしっかりと落としどころをつけて描いてほしかった。
キルモンガーは報われないまま死んじゃって気の毒すぎだし、主人公カッケエエエエとも思えなくて…

その後に支援施設作ったり他国支援することになってたけど、その前にワカンダの国としての細かい法律とかガイドライン強化したほうがいいと思うし、他人救う前にキルモンガー救ってやれただろ…
とは言え、それ以外は大変楽しめたし、全体的には好きだったんだよ…
とはいえ有色人種の監督が撮った有色人種のヒーローが映画として大々的に誕生し、世界で上映されたことを心から祝福したいし、この映画はその存在だけで価値がある映画なんだよなぁ。

あと、フォレスト・ウィテカーって、真顔で3秒写るだけで一気に映画が締まるようなズルさがあるよね。
ぬ