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コンクリートナイトのmingoのレビュー・感想・評価

コンクリートナイト(2013年製作の映画)
4.2
この世には愛と恐怖の2つしか無い。フィンランド版勅使河原宏。哲学的台詞に満ちておりスコリモフスキ「出発」や「バリエラ」みたいなほんの少しのヌーヴェルバーグ臭もさせつつタクドラやディアハンターなどのアメリカンニューシネマ的な香りも散りばめ、しかしやはりここは北欧ヨアヒムトリアーの大傑作「オスロ、8月31日」を想起させる圧倒的に絶望を感じさせる青春悲哀劇の傑作!!!「希望を信じていない者こそ強い」「女はできるだけ殴れ」と教え込む刑務所帰りのとんでもなくイカれた兄貴と、男をつくって家から消える母を持った主人公シモの葛藤の日々。この世はサソリに支配されると兄に教えてもらったのに鳴りやまないクラシック、鏡に投影された自己を確認し覚醒したシモは靴の裏でそっと唇を押さえ男を抹殺。行きつく先は川崎の工場地帯みたいに無機質だが美しい、郊外のお気に入りの場所。ここには何も無い。果てはシモがみていた兄は幻想か?最後に兄から滴るのは涙ではなく尋常じゃなく世界一流れるよだれ。ここに在るのはコンクリートナイト。
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