リッキー

スポットライト 世紀のスクープのリッキーのレビュー・感想・評価

4.0
880本目。
この作品は実話で報道映画としては傑作です。
ボストン地方紙の記者たちが,カトリック教会のスキャンダルを暴いた話です。
異教徒や無宗教の方には地域と教会の関連性および密接度がわかりにくく,何故被害者が訴えようとしないのか疑問でしょうが,物語が進むにつれ納得できます。

新しく局長が赴任してきて,過去の案件の中からこのスキャンダルをどうしてもっと掘り下げないのか編集長たちに追及していきます。新局長の考えは加害者を追及することではなく,組織がその問題を知りながら放置し,揉み消した事実を突き止めることでした。
数人の記者チームによる調査報道となるが,それには膨大な資料の調査と地道な裏取り取材が求められます。
この映画では古き良い時代の雰囲気を漂わせ,現代における報道手法への時代の変化の厳しさを感じさせます。

昨今,報道方法も変わり,地道に調べる調査報道から,膨大なデジタルデータをジャーナリスト連合が分析するデータジャーナリズムが台頭しつつあります。時間とコストがかかる調査報道はもはや困難となり,地域情報の報道や政治権力の監視機能が低下し,ジャーナリズムは大きな危機を迎えています。

巨大な敵に立ち向かっているのがマイケル・キートンをはじめ4人の記者ですが,派手ではないが静かに淡々と取材を続けています。すごく自然な姿にドキュメンタリー映像を観ているようです。
ジャーナリズムのあるべき姿をみました。
終盤に記者のおばあさんの「水をいっぱいもらえないかしら」この台詞が効いています。

この映画を鑑賞して,なにげなく読んでいる新聞の重要性を再確認することができました。
最近ではネットニュースだけを読む人が多くなり,新聞紙の発行部数も少なりつつあります。ネットニュースのトピックスはタイムリーに新しいニュースが発信されることが利点ですが,トピックスはすべて同枠のスペースに同列で報じられているため,読者の見識で重要度・深刻度を判断する術しかありません。
新聞だと1日遅れとなりますが,一面に載せられるニュースが一番重要なニュースであり,情報量も多いため解りやすいです。
新聞社によって社風により偏りがあるため,読み手としては自分で判断し,流されることなく知る権利としてニュースを上手く活用したいです。
リッキー

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