しゅんかみ

心が叫びたがってるんだ。のしゅんかみのレビュー・感想・評価

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
4.1
 俺の心が叫びたがってるんだ…惜しいと。超傑作になりそうだったのに、後半40分に失点してしまい、勝ったけど得失点差で2位になって優勝逃したような映画だと。
 唐突にサッカー喩えですいません。

 前半は、砂糖多めな『ブレックファスト・クラブ』という感じでとても良かった。学校にいるタイプが違う生徒たちが特殊な状況に放り込まれたことで自分に向き合うっていう、青春映画だったらそれだけである程度面白いって保証されてる感じもあるし、実際そこは好きなんですよ。あるキャラクターとか、完全に『桐島』に出てくる宏樹がダブるし。でもあそこまで切なくはならないところも良い!

 とある理由からしゃべることができなくなった順でも、歌うことはできるので、ミュージカルやる!ってのも良いんですよ。クライマックスはミュージカルで盛り上がるの確定だしね!なにより純が「心が叫びたがってる」のも、とある歌を聴いたからだしね。
 主人公の部活仲間のキャラも、典型的な現代のオタって感じだけど気のいいやつらで、DTM研究会なんて設定もフレッシュ。



 ただ、気になったのがクライマックス手前、リハーサル後のシーンからのセリフのインフレね。あ、結局全部口に出しちゃうんだ、と急速に冷めちゃった感じでした。
 言葉にしないと相手には伝わらない、言葉にしたことで何かが変わる。って事なのかも知れないし、その通りだとも思うけど、あそこまで直接的な言葉に頼るのはどうなんだ…って思ってしまったんですよ。
 あそこまでやられると、「あ、フィクションを見てるんだった」て気付いちゃうというか…それまでは緩急があって良かったんだけどなあ…


 とは言うものの、この映画よりひどいセリフ過剰映画も多々あるし、何よりラストはちょこっと泣いてしまったし、基本的にはすごく良い映画でした。なんなら高校時代、こういう出来事に出会いたかったとすら思いましたとも!!

 あ、乃木坂ちゃんの主題歌、合ってなくはないんだけど、劇中歌が良すぎたので分が悪かったかな。劇中歌のあのマッシュアップ感、凄くいい!