幼い頃から、この世の不条理を感じ続けてきたホド爺…彼の作品には、いつもその不条理が描き出されてますよね。
求めるものが手に入っても、何かが失われる…そんな詩的な冒頭のモノローグが、この不条理劇の背骨。
マジョリティや権力は、弱者に対して不条理を与えていて…それを生み出しているものに対しての痛烈な批判に思えました…その中で弱者に与えられる最大の不条理でもある『死』を、これでもかってぐらい見せてくる。
弱者が求める光を奪い去る…太陽。だからきっとエル・トポってのはモグラって意味と共に、マイノリティたちの総称的な意味合いでもあるのかな。
そこに仏教も学んだホド爺の持つ独特な宗教観だったり、死生観だったりを重ねて描いていく事で、シュルレアリズムな表現が鮮烈に突き刺さってくる。
人の醜さのシンボリックな描き方。
作中に挿し込まれる『獣の鳴き声』を人間が放つって表現…人間の本性も、一皮剥けば『獣』と変わらないって思わされる。
インスタレーションとして作品を観ると…ホド爺の根っこにある、因果応報も含めた輪転に対する考え方が感じられる。最近の作品にも通ずるものがあります。
私たちにとっては不条理劇だとしても…
当事者たちには現実。この温度差が苦い。
ラストシーンはティック・クアン・ドックをそのまんまにして描いたような表現。
興味があれば、Wikiで調べてもらえるといいかもですね…この作品の落としどころが見つかるかもしれませんよ?(謎)
私がティック・クアン・ドックを知ったのは、Rage against the machineのアルバムのジャケットでしたが…(笑)
今作を『カルトムービー』と呼ぶ、カルトだと考えているのだとしたら…その人もきっとマジョリティ側。たとえ無意識だとしても、弱者に不条理を押し付けている要因のひとつ。
かなり痛烈…そして挑発的。
恐ろしい表現者だね、ホド爺。
まだこの頃は…博愛にまで到達してない。
まぁ、本当ならできないよね(^_^;)
でも、私はそれでも『生きろ』って、言い続けてくれる今のホド爺が好き。
色々と書き連ねましたが…個人的解釈です。
解釈はそれぞれあって、それぞれ正しい。
そういうもの。
それぞれが尊重されなければ、目に見えない不条理ってモンスターは一向に弱体化してくれないんだなー…と。
ホド爺の人生観、知れば知るほどに色々と見えてくるようになる…なんか面白いね。
敢えてオススメはしないけどね(笑)