和桜

千年医師物語 ペルシアの彼方への和桜のレビュー・感想・評価

3.5
ノア・ゴートンのベストセラー「千年医師物語」が原作。
原作の第一部を映像化したものなので、題名にあるような壮大なイメージを期待すると肩すかしを食らうかも。
しかし、非常にワクワクする世界観。

11世紀のイングランドからペルシャをまたにかけて進められるストーリーで
この時代、科学や医学などは十分に進んでいるとはいえず、その技術格差は地理的にも偏りがあります。
つまり、医療を魔術的なものとしていたキリスト圏よりもギリシャ哲学などを受け継いだイスラーム世界が医学を始めとした知識の中心だったのです。
そんな背景の中、キリスト教徒である主人公ロブは、多くの人々を救うために医学を学びたくともその願いを叶えることは難しかった。
そこで彼はどうするのか?
そして、知識欲と使命感の強い彼はどのような運命に行き着いてしまうのか?
というのが大まかなあらすじ。

この話自体は正確な史実とは言えないようです。
しかし、医学の発展には欠かせない「ある行為」と、多くの人は感じてしまうであう嫌悪感や宗教的タブーとの対立が描かれた本作品は
現代では当たり前になった様々な事柄が、過去の先駆者が命がけで築いたものだということを改めて気づかせてくれます。

当時の退廃したイングランドや活気に満ちたペルシャの様子なども上手く描かれており、歴史の雰囲気を感じられる点も良かった。
原作から大胆な変更がくわえられているらしいですが、非常に続きが気になる物語です。
ただ、興味が無い人には少し長く多少辛いかもしれません。
和桜

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