みかん

日本のいちばん長い日のみかんのレビュー・感想・評価

日本のいちばん長い日(2015年製作の映画)
3.8
1945年8月15日、玉音放送を流すまでの壮絶な舞台裏を描いた、ドキュメンタリーヒューマンドラマ。

戦争映画ですが、戦場で戦うわけではなく、メインは昭和天皇や首相、大臣、陸軍将校や書記官など、終戦までの議論やクーデター未遂を時系列で追った、深くて重厚な作品。

玉音放送があったことは知っているし、TVの特番などでその流されてる様子を観たこともある。

けれど、この放送に辿り着くまでに命懸けで己の信念や日本の未来のため、平和のために闘ったドラマがあったことは知りませんでした。

1936年に2.26事件で陸軍青年将校に襲撃され重傷を負ったところ、何とか一命を取り留め、1945年4月に昭和天皇の頼みで、77歳の高齢で耳も遠くて息子にサポートしてもらいながら、決死の覚悟で内閣総理大臣になり、終戦出来るよう努める鈴木首相。

国体護持のため、一億総玉砕で本土決戦を叫ぶ陸軍青年将校たち。

彼らの暴走を抑えつつ、終戦を思いながら本土決戦を推す阿南陸軍大臣。

連日閣議を開いても、ポツダム宣言受諾か否か意見が一向に決まらない。

そんな議論してる間にも、戦局は悪化する一方。

どうにか(死刑覚悟で聖断を仰いだ)鈴木首相と昭和天皇との絆で終戦に持っていっても、納得しない陸軍青年将校たち。

ポツダム宣言受け入れてその返信が届いた時もまた大変。
「subject 〜to …」を訳する時、書記官は生きた英語で「(日本は)管理下に置く、制限のもとに置かれる」という柔らかい意味で解釈するが、陸軍青年将校たちは辞書で「隷属する」という意味を見つけて、日本は隷属することになる!と大騒ぎ。

玉音放送の文面考えるのも議論は紛糾。

細かな言い回しの違いで人々の受け取り方が変わるので、今も尚戦っている兵士たちを尊重する阿南陸軍大臣の熱い想いや、書記官も表現を練って、長い時間がかかる。

昭和天皇の録音作業後、恐れていた降伏反対の陸軍青年将校たちの暴走が始まる。

一見狂気の沙汰のように見えるけど、彼らもあくまで日本を守るために命をかけて立ち上がったわけで、それを思うとやり切れない。

そして「貧乏くじ」を引いた阿南陸軍大臣も家族を愛する父であり夫であり。観ていて胸が締め付けられました。

様々な人の信念や機転や命懸けの覚悟、行動、願いのもとに何とか実現した終戦を告げる玉音放送。

自分たちが平和を享受している現在は、そんな過去の上に成り立っている。

多くの人に知ってもらいたい事実だと思いました。

キャストも豪華で、特に山崎努と本木雅弘の演技素晴らしかったです!


★1945年7月。戦況が悪化する日本に対して、連合軍はポツダム宣言を発表し無条件降伏を迫る。

連日閣議が開かれ、降伏するか本土決戦に突き進むか議論が重ねられるが、結論をまとめられずにいた。

やがて広島、長崎に原爆が投下され、『一億総玉砕』の声も上がる中、阿南陸軍大臣は青年将校たちの動きに懸念を抱きつつ、決断に悩み、昭和天皇は何よりも国民を案じていた。

昭和天皇の『聖断』により、ポツダム宣言受諾が決まる。

しかし、降伏に反対する陸軍青年将校らは玉音放送を流させまいとクーデターを企て皇居やラジオ局占拠に向け行動し始める、、。


原作読んでから鑑賞したのでわかりましたが、『国体護持』『お上』『宮城』などの言葉がフツーに使われるので、ここらへんの予備知識ナシだとちょっと難しく感じるかもしれません。

例えば、「おかみに貰ったシャツ」は「おかみ→お上=天皇」ですが、ここわかんないと、「女将?旅館??」とかなると思います。私ならそうなりますw

ちょっと調べておくか、わかんない言葉出てきたら一旦停止でググるかして、この作品を難しいと敬遠せずに、最後まで観て多くの人に受け止めて欲しいと思いました。
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