るる

シチズンフォー スノーデンの暴露のるるのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

スパイ映画のようなやりとり、SF監視社会ってのは現実にあるんだなあ…などというバカな感想を持ってしまった。

初対面時のやりとりでスノーデン氏の頭の良さがわかるつくり。

「暴露者の人格に焦点を当てることで問題そのものから目を逸らさせたくない」
「マスコミの仕組みはわからないので、今回の件で学ぼうと思っています」

理路整然とした口調、いや、すごいな、このひと。セリフ喋ってるみたい。ドキュメンタリーとは思えない。事実はフィクションより奇なりというか…

いま公開中の劇映画はどんな感じなんだろう、んー、観たいけど、レンタル待ちかな…

しかし、結局、スノーデン氏個人にスポットが当たって、問題は矮小化されてしまったというか、多くの人にとって、なにが問題なのかピンときてないというのが現状な気がする。日本にいるからそう感じるだけ?

監視されてるといっても…普段、ロクな情報を取り扱ってないしな。こいつ、こんなところにこんなレビュー書いてるんだぜ!なんて情報が、携帯電話に入ってる全連絡先、ご近所さんに暴露されたとしたら…そりゃ顔を覆って頭を抱えるけれども。
自意識過剰を発動させて引っ越すかもしれないけれども。仕事はそりゃあ、やりにくくなると思うけれども。おちおち買い物もできなくなりそうだけれど。

「いまや自由とはプライバシーのことです」

ううむ…

正直、他国に国家機密が握られていようと具体的にどういう国益がどの程度、脅かされてると公表されない限りは、個人レベルではピンとこないし、
個人情報が自国の政府や他国の誰かにストックされていて、定期的にチェックされていようと、社会生活に支障ない限りは実害はないわけで、監視社会も致し方ないないのでは、などと思ってしまうのだけれど、

情報を握られているということは、やはり萎縮を生むし、あらゆる意味で、命取りになるんだろうな…
情報を扱うマスコミはまさにね。IT企業、ネットメディアの見解はどうなってるんだろう…いやはや、あまりにも無知だな…

メタデータを握られてるということは、たとえば、海外旅行先とかで、なんらかの標的にされる可能性もあるわけだよな。それこそテロの嫌疑、濡れぎぬとかな。うわー…

いや、こええなあ、たとえば、ここに共謀罪に類する法律が組み合わさることで、収集された情報が権力者にとって都合良く解釈される口実を与える可能性があり、効力を発揮してしまうわけか…
ちょっとした発言を切り取られて危険思想の持ち主だとか言われかねないわけでしょう、なるほど、いや、こええなあ!!

アメリカの法律ってどうなってんのかな、これらの件がオバマ政権始め、民主党への不信感を増す材料になったということは察するけれど、
トランプ政権に個人情報を握られてるって、そっちのほうがよっぽど怖い気がするよね…トランプ支持者たちは、自分は大丈夫、テロの嫌疑をかけられることなど、ありえないと確信しきってるんだろうか?

でもねえ、リスクを摘もうとする権力は、いずれエスカレートすると歴史が証明しているし、市民の相互監視は恐ろしいし…疑心暗鬼がなにを生むかわからないわけでなあ…

ひとはちょっとしたことではみ出し者になるんだぜ…多様性が排除されればされるほど、ちょっとした個性や逸脱が目立つようになるわけで…なあ…品行方正に生きてるから自分だけは大丈夫なんて、カケラも思えないけどなあ…?

日本もなあ…他人事じゃないよなあ…マイナンバーとかなあ…透析患者は殺せ、って言ってたひとが政党から公認を受けて議員選に出馬したりするんだぜ…そんな思想を許容する政府権力に通院歴を把握されるって、そうとう怖いよね…なにをもって、自業自得だ、死ね、って言われるかわかんないんだぜ、怖い…

とても現在の話だと思った。でも、じゃあ、これからどうするべきなんだ、どうなっていくんだ、ということは全然わからない、アメリカ人ではない、ムラ社会の日本で暮らす私には、自由というものの正体がよくわかってないのかもしれない…

とりあえず、日本にはもうニンジャはいないんだなあ、スパイはいないんだなあ…そういう組織があったらもっとこう、色々うまくやってただろうにねえ、というニュースばかり目にしているので、なんとなく気が滅入るね…夢がないというか…うん…どうなっていくんだろうねえ…
るる

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