原題タイトルは皮肉込みの設定で、思っても見ない結果と釣り合っていて上手い。
史実とはかなり異なったコルティッツ大将像が描かれているように見えます。この辺りの経緯を描いた本はまたいろいろ出てます。最近だとビーヴァーのパリ解放のノンフィクションが該当。一度読み返さねば。。。
追記:パリ解放についてはアントニー・ビーヴァー「ノルマンディ上陸作戦1944(下)」に詳しい。確認したところ、海軍集積所に魚雷弾頭があったのでそれらを使って橋の爆破など準備はさせていたらしい。(一方でWikipedia見るとまともな爆薬がなく「パリは燃えているか」をやるような事は現実的に無理だったらしい)
コルティッツ将軍は大パリ司令官就任前はノルマンディから押し寄せてきた連合軍と交戦していた軍団の司令官で大パリ司令官任命時に東プロイセンの最高司令部に呼び出されてヒトラーから延々と演説を聞かされてその時点でヒトラーが精神に異常を来していて負けを確信。
なお前任のレンズフェルド将軍は戦後も無事だったそうですが、大パリ司令官の時にSS隊員を身柄拘束していてベルリンに戻ったら命はないだろうと思っていたとの事。大パリ司令官として何かの責任を取らされたような事実はなかった。
コルティッツは戦後パリを救ったのは自分だという自負を言葉に残していた。ただ、もともとそんな気はあまりなかったようで大パリ司令官として出来る事は自軍撤退ルートの確保ぐらいに思っていたらしい。また降伏についてはノルドリンク総領事と接触して連合軍との調整を進めていた。
「パリよ、永遠に」は史実としてのコルティッツの「手柄」に対するカウンターとなるように作り込まれている。作品の性格としてはタランティーノの「イングロリアス・バスターズ」に近いように思える。思えばあの作品もナチスに対する映画からのカウンターパンチだった。