河瀬直美の作品は、俳優ぽい演技をさせない自然なドキュメンタリータッチが独特だが、
この作品はそれとは対極にある、永瀬、樹木希林、市原悦子と俳優の芸達者な人が主演、助演なので、
その他の女子高生や客の人などの自然な下手な演技とに差が出来てしまい、非常に違和感がある。
プロの懐石料理と家庭の母親の味を、一緒に食べてるような違和感。
せめてどちらかに統一出来なかったのだろうか。
後半は河瀬直美的な自然風演技をする人がいなくなるので統一感出てくるのだが。
河瀬直美の作品の中では一番わかりやすく見易いものだった。
ようやく商業映画になったような。それが河瀬直美にとって良いのか悪いのかわからないけれど。
病院やその他のシーンではほんの少しでも音楽が欲しいなあと思ったが、そしたらもっと感動出来るのに、
でもそこで意地でも音楽をつけないのが河瀬直美でもある。
風の音、水の音、人間のか細い声を聴け。とばかりに無音と自然の音だけを流してくるのだ。
残念ながら世間の評価ほどには琴線に触れなかったし泣けなかった。良い映画だとは思うのだけど。
餡を作るシーンは丁寧に描いていたけれど、美味しそうにどら焼きを頬張るアップのカットは全然無いという不思議な作り。
是非入れて欲しかったなあ。。
テーマは手紙で出てきて自明なので、ここでは敢えて触れません。