群青

バケモノの子の群青のレビュー・感想・評価

バケモノの子(2015年製作の映画)
2.9
2015年劇場鑑賞17作目。


細田守監督は大好きな監督の一人だ。ぼくらのウォーゲームで鷲掴みにされオマツリ男爵で久しぶり!と思い時をかける少女でキター!ってなってた。しかしそこからはだんだん下降の一途をたどっていった。じゃあ今回はどうだろうか?となったが結果的には監督作品の中でも一番微妙な、といったところ。勿論ジブリの次を担う監督だし期待もされているわけで、自分も期待してる。それでやっぱりハードルが高いんだよね。良い意味でも悪い意味でも。


まず冒頭!大泉洋とリリー・フランキーの軽妙なな語り口で世界観が説明される。ここはワクワク!
そこからの宮﨑あおいボイスの九太が現れる。

渋天街は完全に千と千尋だよなーこういうオマージュなら全然良いけれど。まあ後述します。


引き絵と同ポジはもうお手の物。熊徹の家での九太と熊徹の掛け合いや多々良と百秋坊の掛け合いなど随所にクスリと出来るところがあった。今までの作品に比べると少し少なかったかも。


前作では母と子がテーマだったけれども今作は父と子。

大人っていうのは子どもが出来ると親一歳になるわけね。子を育てながら親も色々な価値観に触れ、親としての経験を増やしていくもの。
母は腹を痛めて産むわけだから本能的に子を守る機能が備わっている。しかし父は子の存在に男としての責任、つまり家族を養っていくことが父としての存在意義となる。

劇中の熊徹は親初心者としてはとても不器用。そりゃそうだ。弟子を取るのがバケモノ界でのリーダーになる条件にもか関わらず、沢山の弟子に囲まれたライバルの猪王山と違い1人の弟子も取ることが出来なかったからだ。
しかし九太は持ち前の根性で熊徹の技を盗む。父と親の話でありながら師匠と弟子の成長物語でもあるのだ。


後半は熊徹の子離れ出来てなさが露呈する。しかし、そうまでして描くのは父が最後に息子に何をしてやれるかという事だろうか。それは何かのために力を使う事だ!と言わんばかりの後半のアゲアゲっぷりに少しテンションが上がった。しかしそれを描くには少し駆け足な感じも否めなかったしちょいと臭すぎた。
理由は恐らくどいつもこいつも考えている事を言いすぎな所かな。熊徹と猪王山の戦いなんてお仲間の2人の掛け合いに、お前ら実況と解説かと思った。監督曰く今回は大切な事はセリフにしたとどっかで聞いたけれども、臭いテーマだからこそ阿吽の呼吸というか、絵で唸らすという気概が欲しかったかなぁ。

あと何が不満ってまずこの作品が発表された時、いつもならあったワクワクがなかったこと。何かなーと思って考えたら恐らく、あまりにもジブリっぽいと思ったから。

もうちょっと別の方向性でも良いんじゃないかな。これじゃ人気になったバンドが次第に音楽性が変わってデビュー時の初期衝動が良かったなぁ、というのと同じで申し訳ないがやはり、自分は時かけの時のウキウキが欲しいと思ってしまった。
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