ひろぽん

グローリー/明日への行進のひろぽんのレビュー・感想・評価

グローリー/明日への行進(2014年製作の映画)
3.5
1965年に黒人公民権運動の指導者・キング牧師が主導した、黒人の選挙権を求めるアラバマ州セルマから州都モンゴメリーまでのデモ行進する計画を立てるが、それは「血の日曜日」という大事件に発展してしまう。公民権運動の指導者として生きたキング牧師の闘いと苦悩を描いたヒューマンドラマ。

舞台はキング牧師こと、マーティン・ルーサー・キング・Jr.がノーベル平和賞を受賞した1964年の翌年である1965年のお話。

インド独立の父であるマハトマ・ガンディーに啓蒙され徹底した非暴力主義を貫き、絶対に服従しないという確固たる強き信念のもとに世論を勝ち取って行くのだから本当に凄い。

無抵抗な姿勢が弱腰だと避難を浴びても、非暴力で服従しないという積極的な姿勢で攻め続ける意志の強さは見習いたい。

今作は、1965年3月7日の日曜日にアラバマ州のセルマで起きた“血の日曜日(Bloody Sunday)”の流血事件をメインにスポットライトを当てて描かれる。

当時黒人には選挙権がなく、有権者登録というものをしないと選挙権を得られなかった。だが、白人にそれを阻まれ誰一人として有権者登録できず選挙権を持つ黒人はいなかった。その不当な扱いを改善すべくキング牧師の指導のもと、黒人の有権者登録妨害に抗議する600人のデモ隊が立ち上がり、無抵抗な非暴力主義による大規模のデモ行進が行われたのが“血の日曜日”である。

こうして多くの血が流れないと変わらないという現実がとても辛い。民主主義は血の上に成り立っているものだという認識が強く残る。史実をもとに作られている作品なので物語に大きな盛り上がりはないが、歴史を知るにはいい作品だと思う。キング牧師の非暴力と対比された公民権運動家のマルコムXや、キング牧師に理解を示していたリンドン・ジョンソン大統領について知識があるとさらに楽しめると思う。良い方向に向かってるとはいえ、現在でも黒人が不当に扱われたりするのだから現在もキング牧師の完全に目指すところには至ってないという現状。

英雄としてだけでなく、1人の人間として、夫や父親として描かれている点も素晴らしい。I have a dream(私には夢がある)というキング牧師のスピーチは20世紀のアメリカで最高の演説とも言われるほど素晴らしいし、心に響くものがある!!
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