カテリーナ

秘密 THE TOP SECRETのカテリーナのレビュー・感想・評価

秘密 THE TOP SECRET(2016年製作の映画)
2.8
漫画が原作の実写映画化
発想の斬新さに舌を巻き
日本の漫画の水準の高さを再認識する
(主観が大いに入るが)
殺人事件で殺された人間または犯人の脳をスキャンして
映像化し事件の手掛かりを探るという
驚くべき
技術にまで発展している
近未来が描かれる

その人間の脳を覗き見し、丸裸にされる
いくら死んだからと言って
自然の摂理を乱す 強引で傲慢なやり方に当然反感をかう

その辺りの描き方が映画では足りない
一家惨殺事件の生き残りの
絹子の口から罵られるだけである
死刑囚の父親の脳をスキャンされたからだ
絹子を演じる女優は新人なのか
父親の頭をメスで切り裂きあらゆる記憶を
覗き見る行為に彼女は怒りに震え罵詈雑言を浴びせる 筈だが棒読みの為全くこちらに伝わらない

ミスキャストだったのではないか
ある意味絹子という役柄はこの映画の肝となる存在で可愛いらしさの顔の内側に
巣食う猟奇的な部分とエロティックな部分も併せ持つ ただ、若くて可愛いだけの女優では絹子の奥行きを表現するのは難しい
更に力強く
絹子が物語を動かす役目もある

こんな大役を新人に?最早、
彼女の薄い演技力を責める気にはなれない
または監督の演出の技量の無さか、
彼女に靄をかけるとか
説明台詞を減らすとか工夫があったら
違っていたかも知れないが

原作の良さが彼女の発する台詞で台無しとなる
違う女優を起用していたらと妄想する
絹子という恐ろしい少女を
震えあがるように演じられるのは誰だ?

岡田将生が眉間にしわを寄せて
にこりともしない役柄で個人的に大満足
美しい顔でキリキリと精神をすり減らす
苦悩の表情が一番似合う
近未来を想定してるのか背広の肩に入ってる肩パットが気になる
なんかイビツ……

栗山千明の役柄は必要なかったと感じる
彼女は生田斗真演じる第九の室長で
一緒に立ち上げた松坂桃李の恋人で
女医という設定
恋人を死なせた原因を作った生田斗真を何処かで憎みながらも同じ道を辿るのではないかと心配する
らしい
そもそも漫画では描かれない人物
生田斗真とは幼馴染みで
彼の暴走を止めるために必要と言えば
そうかも知れないが 描き方が浅い
全く心を動かされない 一刻を争う切迫した場面なのにスクリーンからピンと張り詰めた緊張感が感じられないのは何故なんだ

文句ばかりの羅列になってしまったが
最後まで我慢して見てると
無垢で純粋な眼差しのなんと美しいことかと心を洗われる瞬間がやって来る
その場面では不覚にも涙が流れてしまった
カテリーナ

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