ベルサイユ製麺

はじまりへの旅のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.5
危ういバランスの作品です…。

人里離れた森の中で、精神・肉体・知性を磨き続ける父と6人の子供たち。鹿を狩り、岸壁をよじ登り、夜は焚火を囲み読書とディベート。楽しいな 楽しいな 森には 学校も 試験も何にも無い♪(パパの抜き打ち試験は有る)
…まあ、言っちゃえば完全にカルトです。方向性に関わらず、突き詰めるとなんでもカルト化します。
心を悪くし、自ら命を断った母さん。ブッディストで、火葬を望んでいた優しくて美しい母さん。そんな母さんが、いま邪悪なキリスト教団の手により土葬されようとしている!私達の手で、母さんの身体を取り戻さなくちゃ‼︎
…カルトがバスで凶行に及ぶ迄を描くロードムービー、は言い過ぎですが、どうにも歪なバランスに思えます。実際はストーリー的には、カルト化した一家と現実がどの様に折り合うか=はじまりへの旅、なのですが、軸足がハードコア・ナチュラル側にあるので何処と無く描写がアンフェアに映ります。例えば、普通に育った若者たちの長所は一向に描かれなかったり…。
完全に書かなくて良いことをどうしても書いてしまいますが、この道徳的な感じ、“もっと自然に回帰すべき”的な打ち出しは『おおかみこどもの雨と雪』に似てるなーと思いました。だから、…アレです。
映画の表面のディテールは本当に楽しく魅力的で、だからこそメッセージの部分のバランス・見え方には気を配るべきではないかな?と思いました。子供たちも観ますよね。最近のアメリカ映画って、教育や思春期の若者との向き合い方についての作品が多い気がしますね。気のせいかな?
あと、原題のニュアンスが分からない…。珍しく放題がナイスアシストしてると思います。

ヴィゴ・モーテンセン!
実は『ロード・オブ・リング』シリーズ未見で、どちらかというと『イースタン・プロミス』とかの印象が強いのです。だもんだから、全裸の歯磨きシーンには「またもや生モーテンセンが!」と思っちゃいましたね。まだまだ若いなぁ!カッコいい‼︎