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クリード チャンプを継ぐ男のmaroのレビュー・感想・評価

4.0
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

シリーズ最新作が2023年5月26日に公開されることを踏まえ、1週間限定でのリバイバル上映。
『ロッキー』シリーズ初のスピンオフ作品であり、『クリード』シリーズ第1作目。
とんでもなく面白かった!!

いやもうね、設定が秀逸すぎるのよ。
『ロッキー』シリーズでロッキー(シルヴェスター・スタローン)のライバルだったアポロ(カール・ウェザース)の遺児を主人公にするんだから!
普通だったらロッキーの息子を主人公にしそうだけど、そこをあえてロッキーの宿敵だったアポロの息子にしたことで、ドラマ性が増したと思う。
ロッキーが指導するのも、実の息子だったら当然の流れになるけど、かつての宿敵の息子となるとそれだけでエモいから。
そもそも、ロッキーの息子は過去作にも出てるけど、ボクシングには向いていなかったのと、どこに行っても「ロッキーの息子」と言われることを嫌がっていたから、それ以上掘り下げることは難しかったのかもしれないけど。

アポロは『ロッキーⅣ』(1985)にて、ドラゴ(ドルフ・ラングレン)との戦いで命を落としているから、アドニス(マイケル・B・ジョーダン)は父親を知らず、ボクシングを教えてくれる人が身近にいなかった。
そんな状況で、自分が強くなるためにうってつけのトレーナーと言えば、かつて父と戦ったロッキーしかいないつって、そこで師弟関係が結ばれるのがアツい。
父をアポロに、トレーナーをロッキーにって、まさに父が孫悟空、トレーナーがピッコロっていう孫悟飯みたいじゃんか。

正直、アドニスがなぜボクシングに目覚めたのか、なぜそこまでして強くなりたいのかは明確に語られていないからわからない。
でも、彼がロッキーの指導の下、着実に力をつけ、最後の対戦に臨む流れは、これまで『ロッキー』シリーズを観てきた身からしたらおなじみの展開に親しみを感じつつ、ロッキーがセコンドに入るという世代交代感もあって、懐かしさと新しさを両方感じられるのがよかった。

そして、一番の見どころは最後の試合だ。
第2ラウンド後半からの両者の打ち合いがメチャクチャかっこいい!!
対戦相手のコンランを演じたのは、もともとプロのボクサーであるアンソニー・べリューっていうのも本格的。
しかも、しっかり泣かせてくる構成なんだよ。
試合前にアポロと同じ星条旗のトランクスが母親から届けられるシーンや、アドニスがダウンした後にフラッシュバックでアポロの顔が映るシーンなんかは特に感動した。
まさに"父親から受け継がれる意志"そのもの。
最後、勝ち負けがちょっとわかりづらかったけど、試合に負けて勝負に勝ったという意味では、第1作目の『ロッキー』(1976)と同じでリスペクトを感じる。

そんなわけで、感動と興奮がダブルで味わえる最高のボクシング映画!
『ロッキー』シリーズのスピンオフってことだけど、BGMも『ロッキーのテーマ』を使用しているし、ロッキー自身の出番も多いしで、もはやスピンオフであるのがもったいないぐらいだった。

(2023.5.8追記)
(2023.5.23追記)
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