秋日和

山の音の秋日和のレビュー・感想・評価

山の音(1954年製作の映画)
4.5
嵐の夜の消え入りそうな蝋燭の火、糸がすぐ切れるミシン、表情を隠すお面、一枚も葉をつけていない木々等の見せ方の見事さもさることながら、原節子の艶っぽくも恐ろしい眼差しに幾度となく震え上がった。成瀬の映画を観るときにいつも思うことではあるけれど、絶対に他人が見てはいけない男と女の瞬間を切り取るのが圧倒的に上手い。原節子が輝きを放っている表情を捉えたショットはどれも夫・上原謙にではなく、義父・山村聡に向けられている。劇中の言葉を使うのならば、義父-娘の関係である筈の二人の視線はあまりにも「エロティック」だと思う。
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