ダーデン二郎

ボーダーラインのダーデン二郎のネタバレレビュー・内容・結末

ボーダーライン(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:テイラー・シェリダン
音楽:ヨハン・ヨハンソン
撮影:ロジャー・ディーキンス
出演者
エミリー・ブラント
ベニチオ・デル・トロ
ジョシュ・ブローリン
ダニエル・カルーヤ
ジョン・バーンサル
ジェフリー・ドノヴァン
ヴィクター・ガーバー

〈あらすじ〉

アメリカとメキシコの国境で巻き起こる麻薬戦争の闇を、『灼熱の魂』『プリズナーズ』などのドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が衝撃的かつリアルに描いたアクション。メキシコ麻薬カルテルを撲滅すべく召集された女性FBI捜査官が、暴力や死と日常が隣り合わせの現実を目の当たりにする姿を映す。主演は、『イントゥ・ザ・ウッズ』などのエミリー・ブラント。ほかにベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリンらが出演。ヴィルヌーヴ監督による臨場感たっぷりの演出と、名優たちの緊迫した演技に注目。

優秀なFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)は、メキシコ麻薬カルテルの全滅を目的とした部隊に入り、特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)のもとで極秘任務に就く。ケイトは早速、謎めいたコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境付近の捜査を開始。人が次々と亡くなる現実を突きつけられたケイトは……。

〈社会背景〉
メキシコ麻薬戦争という言葉を一度は聞いた事あるのではないでしょうか?字面から分かる通り悲惨な現実がそこにはあります。現状は想像絶する程地獄です。

メキシコ麻薬戦争(メキシコまやくせんそう)は、麻薬組織(カルテル)同士の縄張り争い、および麻薬密売の取締を推進するメキシコ政府と麻薬カルテルとの間で進行中の武力紛争のことを指す。(Wikipediaより)

2008年4月、バハ・カリフォルニア州における反麻薬キャンペーンの担当者だったセルジオ・アポンテ将軍は地元の警察に対していくつかの横領の申し立てを行った。アポンテはその申し立ての間に、バハ・カリフォルニア州の誘拐対策班が実は犯罪組織の誘拐チームと共に働いていると考えており、その買収された警察官が麻薬密売のボディーガードとして使われていると述べた[55]。これらの腐敗の告発によって、贈収賄や脅迫、腐敗によってメキシコの麻薬組織に対する進展が妨害されていたことが暗示された。

2008年4月26日、バハ・カリフォルニア州のティファナ市において、ティファナ・カルテルとシナロア・カルテルのメンバーの間で大きな戦闘が起こり、17人の死者を出した[56]。この戦いはまた、ティファナ市およびいくつかの国境都市が戦争によって暴力のホットスポットとなることで、アメリカへ暴力が拡大されるのではないかという懸念をもたらした。2008年9月、モレリアでカルテルのメンバーを容疑者とする手榴弾攻撃が起こり、8人の一般人が死亡し、100人以上が負傷した。

2009年3月には、カルデロン大統領はさらに5,000人のメキシコ軍を招集し、シウダー・フアレスに派遣した。アメリカ国土安全保障省はアメリカに国境を越えて溢れ出してくるメキシコの麻薬による暴力に対抗するために国境警備隊を用いることも考えていると述べた。アリゾナ州およびテキサス州の知事は、連邦政府に対して、既にそこで活動している麻薬密売に対する地域の警察組織を支えるために、国境警備隊の部隊のさらなる派遣要請を行った[57]。

アメリカ麻薬情報局 (en, NDIC)によると、メキシコのカルテルは南米のコカインとメキシコで生産された大麻、メタンフェタミンおよびヘロインの支配的な密輸業者および卸売業者である。メキシコのカルテルは以前から存在したが、コロンビアにおけるメデジン・カルテルおよびカリ・カルテルの終焉によって近年ますます力をつけてきた。フロリダを通じてのコカイン密売ルートの閉鎖によってコカインのルートがメキシコ側にプッシュされたことも、コカイン密売におけるメキシコのカルテルの役割を増大させた。メキシコのカルテルは、コロンビアやドミニカの犯罪グループによって制御される地域でこれらの麻薬の販売を行い、メキシコのカルテルの勢力圏を拡大しており、現在そこにはアメリカの大部分も含まれると信じられている[58] 。

メキシコのカルテルは、現在アメリカにおける麻薬密売を支配する強力な暴力組織となっており、もはやコロンビアの生産者は単なる仲介となっている。FBIによると、メキシコのカルテルは卸売の供給にのみ集中しており、違法薬物の小売販売はストリートギャングに任せている。伝えられるところにおいては、メキシコのカルテルはアメリカのギャング紛争において、一方に味方せず、複数のギャングの要求によって働くとされている。

メキシコのカルテルはメキシコの領域と何十もの自治体の大きな面積を勢力圏におき、メキシコの選挙によって政治的に影響力を増大しようと働きかけている[59]。カルテルは、ヌエボ・ラレドからサンディエゴまでの密輸ルートのキーポイントにおいて激しい縄張り争いを行っている。メキシコのカルテルは刺客やシカリオスとして知られる暗殺者のグループを使用する。アメリカの麻薬取締局は、今日国境に沿って活動しているメキシコの麻薬カルテルは、アメリカの警察史上他のどの犯罪者組織よりもはるかに危険で洗練されていると報告している[58]。カルテルはグレネードランチャーや自動兵器、ボディアーマーを使用し、時に戦闘用ヘルメットも用いる[60][61][62]。また、いくつかの組織では即席爆発装置 (IED)を使うことも知られている[63]。

犠牲者数は時と共に大幅に増加した[63]。ストラトフォーの報告によると、麻薬戦争に関係した死者は2006年に2119人、2007年には2275人であったが、2008年には5207人と2倍以上になった。次の2年に渡っては、さらに数が大幅に増加し、2009年には6598人、2010年には11,000以上の死者が出ている[63]。

2017年の政府公表の殺人事件の件数は、25,339件と麻薬組織の抗争を反映して過去最悪の水準となった[64]。(Wikipediaより)
〈より詳細な情報↓〉
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%AD%E3%82%B7%E3%82%B3%E9%BA%BB%E8%96%AC%E6%88%A6%E4%BA%89

 私がメキシコ麻薬戦争について恐ろしいと思う点は暴力が一般市民の生活に浸食されている点と法執行機関がカルテルに買収されるケースが多く機能していない点だ。カルテルメンバーが自身の力を誇示するために首がない遺体や皮を剥いだ遺体を街に吊し上げることが行われているらしい。暴力映画のワンシーンみたいな事が日常生活で起こってしまっているのだ。
 軍や警察といった法的な機関も彼等に支払われる給料の4〜5倍支払うといってカルテル組織に買収されるケースが多くないという点も恐ろしい。法や正義が失われているのだ。

〈脚本〉
テイラー・シェリダンこの名前は絶対に押さえてほしい!笑
法ではなく暴力で戦わずを得ない現状を描く天才!現代の西部劇!フロンティア西部劇3部作の第1作!(第1作がシカリオ、2作目が最後の追跡、3作目がウィンドリバーだと個人的に思ってる)

〈音楽〉
2018年に亡くなったヨハン・ヨハンソンさんが作曲した低音のカッコイイ音楽が今作の緊張感と格を数段階上げている!
The beastという曲がものすごいカッコいい!

〈感想〉
裏方から出演者に至るまで今作の映画に携わっている人間が好きなので、この映画も非常に好きです😊😊😊😊😊
冒頭のダイナミックガサ入れシーンから緊張感溢れるしルックがカッコいい!!!
壁に無残な姿の遺体が敷き詰められているショットで今作の不吉な空気が漂う。
国防省のマットの足元を写すと彼はサンドルを履いている。組織の幹部クラスが重要な会議でサンダルを履いてるシーンでこのキャラを説明しないで胡散臭い人物だと表現するのが映画的で上がるところですよ!笑
高速道路で一般市民など気にかけず銃撃戦が行われるシーンでただ事じゃない麻薬戦争を表現すると同時にクライムムービーのジャンル的なツボも抑えてくれていて最高に上がる😃😃😃
撮影がロジャー・ディーキンスなので全てのショットが美しい。特に好きなシーンは夜に奇襲をかける場面です。暗いのに何やってるか分からなくならずにハッキリ描かれていて絵画的な美しさが感じられる。
誰もが状況を掴めていない麻薬戦争を今作は表現できていると思います。エリート警察のケイトは真相を知るために作戦に参加しますが、異様な状況に巻き込まれ自分は何も知らず無力な存在だと思い知らされます。原題が"シカリオ"メキシコで殺し屋という意味だそうです。タイトルが最後に出ますがアレハンドロは違うカルテルの殺し屋だったのです。
銃声が鳴っているのにも関わらずサッカーをする少年達のラストショットで彼等の生活には暴力が浸透していて日常になってしまっていると感じ非常に恐ろしかったです。