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パプーシャの黒い瞳のmareのレビュー・感想・評価

パプーシャの黒い瞳(2013年製作の映画)
4.0
その絵画的映像美は冒頭のワンカットから思考停止して見惚れてしまうほどで、10年代の白黒映画でまさに大傑作。タルベーラやラヴディアスに通じる現代離れした芸術感覚とアンゲロプロスの旅芸人の記録のような憂うようなロードムービーでもある。パプーシャの生涯、詩世界を切り開く過程で幾度も立ちはだかる過酷な運命に翻弄される。時代は行き来を繰り返して淡々と見つめる。文字なき世界の中で叡智をなぎ払い、聡明な女性は生きる場を追われる。ジプシーとして未来も過去もない理由なき旅の先に光明を見出したかのように詩を歌うように綴る。何にも臆することのないパプーシャの姿は美しい。
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