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ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男のskm818のレビュー・感想・評価

4.0
南北戦争真っ只中の米国南部で戦争の意義に疑問を持った男が脱走して家に帰る。軍に追われる身となった男は沼地に隠れ住む逃亡奴隷たちに助けられる。その後脱走兵や地元民も仲間に加え、彼らは収穫を奪いに来る南軍兵と戦うことに…ってな感じで前半はあれよあれよという間にジョーンズ自由州が誕生。戦争が終わり、白人たちはそれぞれの家に戻っていく。しかし主人公のニュートンは沼地で仲間になった黒人たちとともになおも戦い続けるという話。
時々南北戦争から85年後の子孫の結婚をめぐる裁判の場面が挟み込まれる。奴隷解放宣言とその後の憲法修正で黒人にも同じ権利が与えられたはずなのに、実際は、黒人の血が8分の1でも白人との結婚は許されないというようなルールがまだあったんだよな。
ジョーンズ自由州のことは初めて知った。奴隷を多く所有している金持ちの子は兵役を免除されるのに貧乏人は10代の子どもまで徴兵されて前線に送られる。怪我の手当ても将校が先というような差別があったこと、徴発と称する略奪がたびたび行われていたこと、そのため南部の住人でも南軍に反感を抱く者がいたこと、脱走兵が結構いたこと…そら負けるわな。北部軍と戦うための人手を脱走兵との戦いに割いてるんだから笑。
後半は奴隷解放されたにも関わらず搾取される黒人の姿やKKKの横暴や投票妨害などが描かれる。実は南北戦争後、憲法上は黒人にも投票権あったんだよというのも知ってびっくりだ。こうやって映画にならないと知ることのない事実ってほんと多い。
このテーマだけでも見る価値あるが、ハゲ散らかしてないマシュー・マコノヒーを堪能できるし、女も家族の仇の兵隊たちと銃持って戦うし、マハーシャラ・アリも重要な役で出ている。
敵は搾取するやつだっての、ほんとその通りなんだよなあ。でも実際には搾取されている者同士で争わされていることがほんと多い。自分たちのものは自分たちで守るというこれぞアメリカン・スピリットみたいなものにも溢れてて、西部劇とはまた違ったかっこよさだった。
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