ベルサイユ製麺

ゴースト・イン・ザ・シェルのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

3.4
元のアニメは未見です。
士郎正宗は子供の頃に何冊か読みましたが攻殻機動隊は未読です。多分読んでも理解できなかったと思います。押井守はちょっと観たことあるっちゃ。
元との比較が出来ませんが、殆どの映画の原作なんて存在も知らないので別に平気です。

まずちょっと困ったのは、テーマがよく分からなかった事です。テクノロジーがどこまで進んで良いか?じゃないですよねぇ…。ロボコップとは違う話なのかしら?どうにもSFリテラシーとIQが不足してて分からない。自分に関係ある気がしないなぁ。
自分の見た限りだと、殆どの今作の評が判で押したように〈意外と悪くない〉と書いてありまして、実際に観た印象も〈意外と悪くない〉のです。不思議な感覚…。
あんまり良くないと思ったポイントは、街の描写のペラペラ感と目新しさが無い点です。全体的にどちらかと言うと大友克洋ぽく感じました。(個人的に好きな未来の街並みはリブート版のトータル・リコールです。ギラギラでカッコイー!)
舞台になる範囲が妙に狭く感じられるものもネガティブな印象なのですが、原作由来なのかもしれませんし、そもそもお話のスケールが意図的に小さくしてあるのかもしれません。物語後半は更にダイナミズムのに欠ける、観念的・内省的なお話になっていくのですが、その感じは寧ろ好きです。人類の危機がどうのは見飽きてしまったのです。
主演のスカーレット・ヨハンソン、賛否あったようですが、まず顔立ちはアップだと意外と違和感なく感じました。気になったのはボデーで、なんだか…ドテッとしてまして、実は『アンダー・ザ・スキン』の頃から結構アレだなと思ってました。なんだろう…。肉襦袢、いやきっと肌色っぽいボデースーツのせいだな。そうだよ、きっと。体当たり演技は、恐らくウディ・アレン作品の時の100倍ぐらいの労力に思え、頑張ってるなぁと好印象を抱きました。
タケちゃんの演技も棒っぽいとかいろいろ言われてるようですが、洋画の日本人のシーンてだいたいこんな感じな気もします。(早送りするとセリフは普通に聞こえました。)

アニメーション版のコアなファンからするといろいろ言いたい事があると思いますが、個人的には謎の〈意外と悪くない〉メソッドが不思議に心地良く思えたので、この雰囲気で例えば『ブラックマジック』とか作ってみて欲しいです。あと、黒田硫黄版『アップルシード』とかも。