秋日和

呼吸 友情と破壊の秋日和のレビュー・感想・評価

呼吸 友情と破壊(2014年製作の映画)
5.0
ジョゼフィーヌ・ジャピ(=シャルリ)は「吸う人」で、ルー・ド・ラージュ(=サラ)は「吐く人」なのかなと、観終えたときに、まず思った。前者は吸入器で示され、後者は煙草(の煙)で示される。
映画が始まって数分は、なんだか脱色したような世界だと思いながらスクリーンを眺めてた。冒頭付近で映し出される淡いクリーム色で彩られた住宅街と、ジョゼフィーヌ・ジャピの透き通った肌。この二つが、映画序盤の雰囲気を決定づけているように思えた。
映画が進んでいくにつれ、色合いが変わっていくように感じた。別に、画面が暗くなっていくわけじゃないし、照明が変わったわけでも多分ない。あくまで観ている側の感じ方の問題なのだけれど、転校生であるサラが煙草の煙を「吐き出す」毎に、彼女の隣にいるシャルリの色が濁っていくような気がして仕方がなかった。まるでサラが身に纏う不穏さを、シャルリが全身で「吸っている」みたいな、そんな感じがしたのだ。
別に二人の関係が良好ならばそれでも別にいいのかもしれないけれど、実際の彼女たちは「友達」と咄嗟に言えないような「クラスメート」同士に過ぎない。「友達」と「クラスメート」の間に結構な壁があるのだということはなんとなく自分も知っているけれど、流石に壁が厚すぎた。部屋の内/外、或いは家の内/外…………明確なショットで提示されるどうしようもない壁。どうせ「破壊」するのなら、あの壁を「破壊」すればいいのに……。加速していく自己愛が止まらない、痛ましい青春映画の傑作。
秋日和

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