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スター・ウォーズ/最後のジェダイのohassyのレビュー・感想・評価

4.0
観たーーー!

多くのスターウォーズファン同様、あまり冷静な評価や感想は述べられないし、内容のほんの一部を話しただけで未見のファンにとってはネタバレになってしまうというデリケートな作品なので、ふんわりとした評にならざるを得ない。
具体的なストーリーについてはほぼ触れていませんが、でも多分、人によってはネタバレになってしまっているかも。

と、前置きをして。

ファン以外の人にとっては心底どうでもいいと思うけれど、巷では見事に評価が分かれている。
その「良かったサイド」と「ダメだったサイド」それぞれの代表が、町山さんと宇多丸さんだろう。
面白いのはそのどちらの言い分を聞いても、確かにその通り!と思えてしまうこと。
スターウォーズ以外でそんなことはまずない。
きっとそれは、単純に面白いかどうかを評価しているのではなくて、同じファン同士の中での議論として成立しているからに他ならない。
どちらにも共通するのは、スターウオーズ世界に対しての愛だ。
映画を観た方はぜひ聴き比べてください。

スターウォーズというのは僕らにとってはただの映画ではなくなってしまっていて、人生に未来永劫ついて回るものになってしまってた。
例えば贔屓のスポーツチームのように、どんなにダメでも文句を言いながら応援して観続けてしまう。

よし、今シーズンは上々だ!
今年は最低だったが、来シーズンこそ挽回だ!
あの選手をもっとうまく使え!
監督を交代させろ!
ここはヒット&ランだろ!
シュートで終われよ!
試合には勝ったけど勝負には負けてた!
スポンサーが悪い!

みんなの自分ごと化が凄すぎて、最高だと思う。
きっと、シリーズ最低だ!とか言っている人も、次回作も絶対に観るだろうし、怒っている人ほど熱心なファンに違いない。
リバプールや阪神のファンみたいに。

そういう目線であらためて考えると最後のジェダイは、フォースの覚醒がシーズン中のゲームだったとすると、シーズンオフのストーブリーグの戦いのようでもある。
シーズンの成績を受けて、次のシーズンのため戦略を見据え、チームの刷新と補強を図るために大鉈を振るう。
チーム(映画)の未来にとって本当にためになる軸となる選手(キャラ)や技術・戦術(ストーリー要素)を研ぎ澄まし鍛え上げ、その他は冷徹に切り捨てる。
過去の偉大すぎるOBたちのしがらみを解放し、卒業すべき選手は花束と拍手で見送り、残しても期待しているほどの成績を残しそうもない大型助っ人選手は違約金を払ってでも思い切って契約を終える。

そうして残った、最低限必要な選手と戦略を元に(特にカイロレンを主軸に)、今後10年20年と勝ち続け、ファンを魅了する新しいチームを作る。
「エピソード9」という次のシーズンを戦いぬくために。

僕はどちらかといえば、かなり楽しめた。
ストーブリーグ=メインではない、ということでは全然なくて、どちらも同じくらいスリリングで、チームには重要な物語だと思う。
その憎まれ役を全うしたライアンジョンソン監督には、敬意を込めて「お疲れ様でした」と言いたい。
きっとずっと後になって正しい評価がなされるのだろうけれど、ビジュアルは圧倒的に良かったし、これまで3部作ごとで決められていた暗黙のストーリーラインに楔が打たれたのは刺激的だ。
いろんなダメ展開に全て目をつぶっても良いと思える。
そもそもこのシリーズはおとぎ話で、昔から愛すべき御都合主義のダメ展開でできていたはずだ。
あのファントムメナスを観終えたときの絶望感すら、今となっては愛おしいわけだし。
本作のおかげで、僕は次回作が異様に楽しみになった。
一体どうするんだろうと。

JJどうするんだろうホントに。
前作が安定的な内容だっただけに、それと比べて評価している人も多い。
でも、前回の安定的な完成度があったからこそ今回これだけ攻めることができたのは間違いないし、それが実現できるのはJJをおいて他にいない。
彼のおかげで、どんなに振れ幅を持たせても、どんなに暴れても、ちゃんとスターウォーズの中に収まることができるのだ。
そして新たなシーズンで采配を振るうことができるのも、JJをおいて他にいない。
だから本当にすごく楽しみ。
これだけ振り切られた後で、JJはどうするのか。
戻すのか、さらに振り切るのか。
個人的にはここまできたら振り切ってもらいたい気もするけれど、ルーカスとディズニーが許すかな。

っていうようなことを、たかか映画のことで延々と語らされてしまうわけで、本当にファンじゃない人にとっては何言ってるんだろうという感じだろう。
まあ仕方ない。

面白かった。
スターデストロイヤーとAT- ATが映るだけで脳の皺の隙間から何かがドバドバ出る僕としては、フォースの覚醒からローグワン、最後のジェダイと、ずっとハイになっている感じなのです。
ちなみにいちばんドキドキしたのは、ルークが破られた扉から出て敵と対峙するシーン。
後ろ姿を望遠で捉えた長めのカットを見ていると、今にも丸ワイプが登場してきそうで、「おい、まさかここで終わるんじゃないだろうな?!」と本当にビビった。
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