yumeayu

スター・ウォーズ/最後のジェダイのyumeayuのレビュー・感想・評価

4.0
"すばらしい、全て間違っている"

SWは“こうあるべき”と思っている人ほど納得がいかなかったのではないでしょうか。
新しいSWを作るという攻めの姿勢を受け入れることができるか否かで評価がわかれそう。

前作はEP4を意識したような作りでオールドファンを喜ばせてくれましたが、今作は作風がガラッと変わりました。
この旧シリーズをいきなりぶっ壊す感じは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」を思い出させます。評価が真っ二つに分かれたところも似ていますね。
個人的には概ね満足ですが、よかったところと悪いところのギャップがありすぎたように感じました。

よかったのは役者陣の演技。
特にカイロ・レンを演じたアダム・ドライバーが見事でした。
エレベーターでマスクをガンガンし始めたときは「こいつ成長してねぇな」と心配しましたが、前作を経てよりキャラクターに深みが増し、非常に魅力的になりました。今回は完全に主役のレイを食っていたと思います。
スノークの間でレイと共闘するシーンは今作屈指の名場面でしょう。ライバルが一時的に手を組み戦うというのは無条件に燃える!
ライトセーバーの戦いというと舞踏のような華麗な剣さばきですが、この二人は力まかせで荒々しい。この粗削りなところがフォースの才能はあってもまだまだ未熟という感じが伝わって好き。

そして何といってもルークを演じたマーク・ハミルが素晴らしかった。
本人は今回の脚本に納得していなかったようですが、ほんとよかった。
ただの偏屈ジジイになってしまって(ジェダイマスターはみんな偏屈ジジイになるな...)、ショックではあったけど、R2-D2やC-3POと再会したときに見せた笑顔や仕草はやっぱりルークだった。嬉しかったなぁ。

そのルークが語る神格化したジェダイへの危険性は、とてもショッキングなものでした。
ある意味シリーズを全否定しているとも取れますし、僕らSWファンへのメタ的な発言のようにも感じました。
その辺りを踏まえても、今作は旧三部作から新三部作へ完全な世代交代を図ろうとした作品だったと思えます。
「ここからは好きにやらせてもらいます!」というディズニーの宣言のように感じたのは勘ぐりすぎか。
今後ハン・ソロのスピンオフに加え、新たな三部作も予定されているようですが、果たしてディズニーはSWにバランスをもたらす存在となるのでしょうか。
今のところパルパティーンのように裏から牛耳ろうとしているようにしか思えなくもないですが(笑)。

脚本の粗など不満もありますが、“失敗こそ最大の師”の精神でプレッシャーをはねのけ今作を作り上げたライアン・ジョンソン監督にはお疲れ様と言いたい。

残すはEP9ですが、広げた風呂敷をたためるのか!? J.J.エイブラムスよ!
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