ひろ

我が道を往くのひろのレビュー・感想・評価

我が道を往く(1944年製作の映画)
4.0
製作・監督レオ・マッケリーによって製作された1944年のアメリカ映画

第17回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞(ビング・クロスビー)、助演男優賞(バリー・フィッツジェラルド)、脚色賞など7部門を受賞した

のコメディ映画で名を馳せたレオ・マッケリー監督。普通のコメディだけじゃなく、こんな人情喜劇も監督していた。オスカーを受賞したんだから、むしろ代表作と言うべきなのだろう。この映画は大ヒットし、監督は当時のアメリカの長者番付で1位になったという。

この映画は際立った展開もなく、進歩的な若い神父と保守的な老神父を描いた、一見地味な作品だ。だが、それこそがオスカーを7部門も受賞した要因なのだ。なぜなら、戦時中にも関わらず戦争にはいっさい触れず、アメリカのありふれた日常を描いたからだ。映画によって戦争という現実から少しだけ離れることができたに違いない。

不良少年たちで聖歌隊を作ったり、自ら歌う神父オマリーを演じたビング・クロスビー。すでに歌手としてスターだった彼が、アカデミー主演男優賞を受賞し、俳優としての評価も確立した。今では歌手が俳優をやるなんて珍しくないが、ビング・クロスビーが先駆け的な存在だ。5000万枚も売り上げた「ホワイト・クリスマス」や「サイレント・ナイト」はあまりにも有名で、日本で流れてるのも大抵クロスビーの歌っているものだ。

老神父を演じたバリー・フィッツジェラルドも素晴らしい。最初は保守的な雰囲気だが、愛嬌があって可愛らしいおじいちゃんだ。アカデミー助演男優賞を受賞したが、なぜか同時に主演男優賞にもノミネートされていた。戦時中ということでオスカー像が石膏でできていたらしいが、ゴルフの練習中に壊しちゃったらしい。

この作品には翌年に製作された「聖メリーの鐘」という続編があるのだが、本当はこの作品が続編。配給会社が異なることから、続編が先に完成してしまい先に上映されるという珍事が起きてしまった。どちらから観ても問題ないのでご安心を。とにかく、この作品のラストは最高に素敵だし、ビング・クロスビーの歌声に酔いしれてもらいたい。
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