ひろ

怪物はささやくのひろのレビュー・感想・評価

怪物はささやく(2016年製作の映画)
3.9
パトリック・ネスの小説「怪物はささやく」をフアン・アントニオ・バヨナ監督が映画化、原作者本人が脚本を務めて製作された2016年のスペイン/アメリカ映画

ダーク・ファンタジーという触れ込みだが、ファンタジーというよりヒューマン・ドラマの要素が濃い。闘病する母親と暮らす少年、彼の前に突如現れる木の怪物。夢のような怪物との会話と現実がシンクロしていく。このドラマとファンタジーの混ぜ合わせ方が絶妙。大好きな母親を失いなくない少年の内面を見事に描いている。暗いタッチの暗い内容にもかかわらず、悲壮感を感じさせない終わり方。大人向けの童話といった感じかな

主人公コナーを演じたルイス・マクドゥーガル君の演技はなかなかよかった。子役に内面の葛藤を演じさせるなんて難しい。脇を固めるキャストが子役を支えていた。祖母役のシガニー・ウィーバー。母親役のフェリシティ・ジョーンズ。怪物の動きと声役のリーアム・ニーソン。子役が主人公の映画の良し悪しは脇を固める俳優で決まると言ってもいい。この作品は安心して見ていられるキャスティング

スペインで高い評価を得てスペインのアカデミー賞であるゴヤ賞を総なめ。ちょっと派手派手しいファンタジー好きの国ではヒットしなかったみたいだけど、個人的にはこういうダーク・ファンタジーは好きだ。ファンタジーを使って人間を描く。それって難しいけど、伝わってくるものがあるし、新鮮。たまには一風変わったファンタジーを観たいという方はご覧あれ
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