画家夫婦の切なくも美しい物語。
大好きな映画です。
オープニングから芸術家の目線で見ているような感覚に陥ったと思ったら、あっという間にその世界観に入り込める不思議。
特定の色調に拘って撮影された映像は溜息が出るほど美しく、計算され尽くした構図は絵と見間違うほどに美しい。その背景に流れるテーマ曲もまた泣けるほど美しい。ありとあらゆる「美」が凝縮されていました。
性同一性障害に悩むアイナーの葛藤が色濃く描写されていて、妻ゲルダの心境を思うと何とも複雑な気持ちになりました。当時の社会では精神障害者として扱われていたんですね。治療に薬物投与やロボトミー手術を提案する医師が恐ろしい。
アイデンティティを模索した果てに浮かべたアイナーの吹っ切れたような清々しい表情がとても印象的でした。
心を打たれたのはゲルダの無償の愛。人生の困難な局面にいるアイナーの隣で手を握って、海よりも深い愛で包み込んでくれた人。アイナーにとってゲルダに出会えた事は、人生で一番幸せなことだったのではないでしょうか。
ソウルメイトも飛び越えた二人の深い絆に感動せずにいられない。