このレビューはネタバレを含みます
外的要因によってねじ曲げられてしまった青年の顛末。
悲しい、あまりにも悲しい…
原作未読。これもヒミズも描いたとか稲中の作者スゲー!くらいの感性。
森田剛の"ヤバい人"演技は思わず眉をひそめてしまうほどのもので、濱田岳とムロツヨシのおもしろパートに感謝!圧倒的感謝!
人間性的に陰と陽のコントラスト。
森田剛と2人の相乗効果でこのクオリティが成立している。
些細な動機でもブチ殺してしまう猟奇的な彼に哀れみを掛けたくなるのは何故なのか。
会話の切り返しの不自然さ、嘘、何かを誤魔化すようにパチンコ、相手を確実に追い詰めるための巧妙さ、数々の殺人…どれもこれも防衛本能から来るものとしか思えないからつい感情移入してしまう。
殺人よりも虐めのシーンの方が悲痛に映るのもワケはない。
「ヒメアノールは強者の餌になる弱者」
この表現はどういうことなんだ…誰のことを指すんだ…自分の中の答えを探ってもいまいちピンと来ないまま。
タイトルが出るのが大体映画の半分あたり。
「まだこっからやぞ、覚悟しいや〜」
と言われてるようなタイミングでワクワクした。
お母さーん、麦茶持ってきてー
ふと立ち寄った店で出逢った彼女に底なし沼のような生活にわずかながら期待をしたのかもしれない。
「森田くん」はきっと誰よりも純粋だったんだろう。
捕らえられた時の彼の少年のような顔が忘れられない。