これはすごい、タイトル(邦題)がまさかのネタバレ、てか完全に出落ちww
まさかそんなことはないだろうとあらすじを伏せて観てみたのだけれどもやっぱり開始早々に「記憶が覚醒した」ww
まあこれだけの出落ち覚悟でタイトル付けたのだから相当自信があるのだろうと思ったものの、ほとんどそのまんまな話でなんの捻りもなかった。ならば、人物の内面を抉った深い描写が楽しめるのかと思ったけれどそれもなかった。
ベンキングズレーは流石の存在感。冒頭の自邸、あれだけのラグジュアリーな空間にいてもまったく違和感がない。あらゆる手段で登り詰めてきたことを感じさせるクールな佇まいがとても似合っていた。
さて、一方のライアンレイノルズ。どうも役に恵まれないというか、駄作に当たってしまうようなイメージがついて回るが、今作を見て確信した。これは彼の演技のせいだわ。ど素人のボクが偉そうなことを言うつもりはない、だから演技力が無いとは言わない。ただ、彼の演技は限られた役どころでしか発揮されないと思った。
あらすじは、ベンキングズレー演ずる超一流の建築家ダミアンが、末期癌で余命幾ばくもないことを知り、技術的なことはわからんがとにかく他人の身体に乗り移ることで不死を手に入れる、その提供された身体がライアンレイノルズで、邦題どおり、元々の身体の持ち主の記憶が蘇ってしまう、、というお話し。
てわけで当然、目を覚ましたベンキングズレーがライアンレイノルズの身体になっているのだけれど、これがもう身も心もすっかりライアンレイノルズになってしまっていて、生きているはずのベンキングズレーはいきなり霧散している。
徐々に記憶が覚醒するのも、どちらかというと記憶喪失が戻っていく感じに近く、もう目覚めた瞬間から基本的にはライアンレイノルズの一人芝居なのだ。
冷酷に若者を足蹴にしたり、金満体質に慣れきっていたり、我が子の活躍を最後までまったく理解できていなかったダミアンの姿はそこには無い。
建築家という設定すらまったく活かされることもなかったように思う。いくらアングラな施設とはいえ、ラボのチープさ極まる造作なんぞ、NYを築いた建築家なら決して無表情に素通り出来ないはずだろうw
ネタバレギリギリで書くとビデオを観るシーンが最後に出てくるのだけれど、もうね、どっちがどっちか全然わかんなくて頭を抱えてしまったよ。セリフとト書きで辛うじて理解は出来ても、異なる2つの人格が存在しているようには到底見えなかった。
ダミアンは別の身体を手に入れた途端に、自分の過ちに気づき、まさに急変する。68歳まで頑固に財を築いた人が、そんな簡単に心まで入れ替われるか?もし変われるのなら、そのいきさつを丁寧に描写する使命がライアンレイノルズにあって然るべきではないのか?
先日観た韓国映画のビューティーインサイドは、次々と身体が入れ替わるのに、中の人はまったくブレずに常に同じ人に見えた。あれはまさしく俳優陣の演技力の賜物だった。
映画としては面白いし、特に奥さんと娘はとても良かった。みんな幸せになってほしいと、一生懸命見てしまった。ただ何度も言う通り、入れ替えの設定は別にどうでも良くなっていたのが残念すぎる。
これはつまり、ライアンレイノルズがそれほどまでに個性の強い役者で、だからデップーが輝いていることの証明でもある。
それを演技力が無いと言うべきか言わざるべきか、そこはお任せしたいですw