カテリーナ

64 ロクヨン 後編のカテリーナのレビュー・感想・評価

64 ロクヨン 後編(2016年製作の映画)
4.6
64ロクヨン 後編
冒頭永瀬正敏と佐藤浩市の会話
ある秘密の為に優しい眼差しを向け
「あなたは大丈夫ですか」とつい、言葉が漏れる雨宮(永瀬正敏)
躊躇いながらも頷く三上(佐藤浩市)の脳裏に
ある記憶が蘇る
前編で絶賛した男泣きシーンである
そのフラッシュバックで
一気に引きずり込まれ 既に涙腺崩壊
前編鑑賞から半月ほど空いてるにも関わらずこの有様

この映画の根底に幼い子供を亡くした
あるいは、年頃の娘が失踪した親の悲壮感がずっしりと根を張っている

男親は家族を守ろうとして
壊された悲しみと怒りを知ってるが故に
その刃は敵を倒すと同時に
か弱くちいさきものを壊してしまう
この矛盾
守ると壊す
は紙一重なのだ


役柄の為か存在感が無くひっそりと
事態を窺っていた
緒形直人が後半その演技力を爆発させる
その目が一瞬緒形拳を彷彿とさせ
これから沢山の作品を重ね、少しずつ
あの狂気の目に近づいていくのかと
予感させた

原作と違うエンディング
原作では社会の厳しさを突きつけてくるラストに対し脚本では何もかも失い
さらに全てを捨て去る覚悟を決めた上で
三上に寄せる思いやりを雨宮に台詞で言わせている
「悪いことばかりじゃありませんよ」
その台詞通りに希望の兆しを見せて
幕を閉じるのだ
それは感情移入された観客に少し寄り添った監督の一粒の優しさだった
どちらが良かったか
ここは比べるところでは無い

私としてはお得感満載であった
自分の知っているところはここまで

「でも、まだ続きが見れる」

このまま終わらないで もう少し、あと少しと願うからである。

追記…………………………………………
コメント欄は前編のコメントととしていただいたものを含みます
ご了承くださいまし
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