ひこくろ

ゴロン・バタン・キュ ーのひこくろのレビュー・感想・評価

ゴロン・バタン・キュ ー(2015年製作の映画)
4.3
明るさっていうのは、生きる力強さなんだよなあ、としみじみと思う。

ホームレスのあたるくんも佐々木さんも、世の中から見ればはみ出し者のダメ人間だ。
人生の落伍者と見る人だっているだろう。
でも、二人はとても明るい。何をしている時も明るく楽しく過ごす。
その様子は、あまりに生き生きしていて輝いている。

対する、ホームレスを面白半分で襲撃する中学生や、あたる君の父親には明るさがない。
だから、彼らからは生きる強さも、幸せも感じられない。

とのこという女性を挟んでも二人の明るさは変わらない。
彼女の明るさとも相まって、この三人の姿は観ているこちらまでほっこりとするほどだ。
さらに、関西弁が明るさに拍車をかける。
これは東京だったら、成り立たなかった空気感かもしれない。

それが後半、ハウスが壊されてから変わってくる。
「もうここには住めない」と酔っぱらって嘆く佐々木さんは笑わない。
売春の仕事場をあたる君に見つけられたとのこも笑わない。
そして、二人と離れてしまったあたる君も、ついに笑顔をなくす。

さっきまで確かにあったはずの、生きる強さが失われてしまう。
その様子にたまらなく胸が痛くなった。
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