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クリミナル 2人の記憶を持つ男のwhiskeyのレビュー・感想・評価

3.5
道徳観も社会性も愛も知らない、完全に人間性が欠落した最悪の囚人の頭脳に、死んだCIAのエリートスパイの記憶を埋め込む。その男に大規模テロの阻止作戦を託す、という話。
よくある話っぽいし突っ込みどころも多いが、結構楽しめた。

まずバイオレンス描写が予想以上に激しい。痛いし結構怖い。血が大量に流れる。どんどん人が死ぬ。そもそも主人公は人格が破綻しているので、人を殺す時に善悪など判断しない。殺人鬼というより、何を考えているかわからない熊のような暴漢。この役をケビンコスナーがやっているので、意外性が面白かった。

記憶を移植されても、主人公が急に超人的な能力を発揮するわけではない。ただ、善悪がわからないはずの自分の頭脳に、時々道徳観がよぎる。本人にとっては初めてのことで、戸惑う。ここも面白い。結局、脳内と心に芽生えた不思議な感情に従って、会ったばかりの赤の他人のはずの母子(死んだスパイの妻子)を助けるために命がけで戦うことになる。

主人公にヒーロー性が乏しく感情移入しにくいし、多少盛り上がりに欠けるけど、微妙な設定の新鮮味とケビンコスナーほか俳優陣の熱演で退屈しなかった。救うのは母子なので、ラブストーリー的な要素よりも家族愛がほんのり描かれる感じも良かった。

ガルガドットは本当に美しい。母役が似合っていた。ゲイリーオールドマンは怒ってばっかりだけど、要するにボケ役ですね。愛すべき役どころ。
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