ベルサイユ製麺

スキップ・トレースのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

スキップ・トレース(2015年製作の映画)
3.6
ああ、ジョニー!ジョニー・ノックスヴィル‼︎ あなたは私のヒーロー!恐れを知らぬ、大馬鹿の神よ!
大昔、友達の家のケーブルテレビで、偶々見た『ジャッカス』に、私は心を撃ち抜かれたのです。なんで、なんでコイツらは笑っているのだ⁈生魚や吐瀉物に塗れ、血を滴らせ、電撃を喰らい「F(ピーー!)」と叫びながらもゲラゲラ、ニヤニヤ…。彼らは恐怖も嫌悪感も笑いでアウトプットする?そんなの無敵じゃないか!たちまち私はジャッカスの虜に…。Tシャツを買い漁り、DVDを貸しては布教(全く却って来ませんでした!)などして。特に首謀者ジョニーの、不敵な表情の裏に垣間見える陰や、掃き溜めで相対的に浮かび上がるイケメン感に虜になっておりました。因みにモンティパイソンとジャッカスを並行して見てるうちに、日本のお笑いにとんと興味が無くなったりもしました…。
しかし、そのうちジャッカスの認知度がジワジワと高まるにつれて、悪癖であるマイナー志向が発動、だんだんと心が離れていってしまったのです。(なので、後期シーズンや、映画の何本かは観ていません。)
ジャッカス名義での活動が沈静化してからも、元クルーの不幸な事故のニュースなどと共に、ジョニーが役者を目指しているという話は聞いていて気に掛けてはいました。で、一応、観てはみるのだけど、あんまり大した役ではないのですよね…。分かってはいたけど、そもそも別にホンモノのイケメンとかでは無いし。結局『ラスト・スタンド』辺りで見失って、そしたら久々の役者仕事が主役級!しかもジャッキーと共演‼︎監督レニー・ハーリンとは!
こんなん観るよ!というか、今こんなのしか観れないの。

なんと意外にも、意外と面白いです!ジャッキー作品としてもここ数年のベストだと思います。まあ正直、90年代のジャッキー作品そのままではあります。肝心のジョニーは、完全にジャッカスのノリ。物の様に扱われ、生ゴミに塗れたり、背中からドスンと投げ落とされたり。昔のまま、というより、いい年のオッサンになった分、哀愁が凄い!めちゃくちゃ良い顔なんだよ!どんなに傷だらけになっても、愚行の神は死なないのだ。なんだか後光が差すようです…。

ジャッキーとジョニーはふたりとも、ある時代の私のアイドルでした。臆病な自分の代わりにバンバン危険に飛び込んでくれる。物凄く陳腐に言えば“勇気をくれる”。だから、このバディの活躍には自然と涙腺が緩んでしまうし、出来れば何度も観たい。ホントに大好きです。
近頃いろいろしんどくて、映画も観れないんじゃないか?って感じだったのですが、今作はとても気分を軽くしてくれました。ジャッキー作品との向き合い方も改めて知った様な気がします。ジャッキー、ジョニー、本当にありがとう。また救ってもらいました。

“映画内で危ない事をやっているのは、スタントマンかただのバカです。よい子やクソガキ、または精神年齢の若い大人のみなさんは絶対に真似をしないでくださいね。”