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イット・フォローズのmingoのレビュー・感想・評価

イット・フォローズ(2014年製作の映画)
4.0
岡ゴズと花金ランデブー鑑賞。
シネマロサ池袋の欲望が渦巻く街の真ん中の汚ねえ場所にぽつんとあって最高。しかも都内でレイトショー料金でやってて映画びとに優しい。そして期待せずに観ましたが凄え!!この監督のバランス感覚凄まじい。ドランなんてうんち、レフン「ドライブ」の衝撃と同等か。マゼンタ100%どピンクのタイポグラフィはまさに「ドライブ」のポスターを想起させる。でもコピーのそれは憑いてくるとか、ルールを書いちゃうのはだせえ要因。いらないだろ〜

良き古き80年代カルチャーの雰囲気を漂わせながらもカーペンター、クローネンバーグ、リンチなどの文脈を継承。そしてレフン本人が気に入りすぎて自身が運営するレーベルからサントラのアナログ盤をリリースしたほどのお墨付きときたもんだ。しかもラストサマーとかスピーシーズとか懐かしきクソB級映画まで思い出させるからもはや涙もん。

まず冒頭では郊外の寂れた住宅街の道路をシンメトリーに捉えた遠景ショットからはじまり、淀んだ空気の中鉛色した空、風に揺れる電線、状況を的確に伝えた風景の中、何かに怯えながら半狂乱で逃げ回る少女。すでに傑作のにおい。

僕やばい映画は興奮してしまって鑑賞中にもかかわらず隣にいる岡田にめっちゃ喋りかけちゃうんですが、「うぉっw」「志村〜うしろうしろ〜w」「ちょ、ビックリした〜w」「いやギャグセンっw」とか言葉にならないことを言ってたら「おまえ五月蝿いww」て言われて、しょぼん。それでもめげずに「この映画やばくね?」て問い続け、岡田はウンウンて答えてくれた。ハンサミティ。彼にとっての本作の映画体験はイットフォローズではなくウツミユウフォローズになってしまいましたことをここで謝らせていただきます。すんまそん。

そんなことより本作が特に優れてるのはホラー映画というジャンルの中に組み込んだティーン映画であること。セックスを媒介とした設定は切なさをより増長させ、思春期の何か(it)と憑いてくるitを掛け合わせ相乗効果でくっそ怖面白切ない。感情が忙しい。そして岡田にちょっかいを出し続けるの忙しい。

あんまり語りすぎちゃうとあれなのでこれくらいにしますが、古典的ホラーに基づきながらも斬新な発想と、土着性溢れる風景の中にドライブ並みのパキッとした美しい絵作り、シンセサウンドの重低音を響かせた音楽で上手く現代の作品に仕上げているのが本当に素晴らしい。
早くも2016年オールタイムベスト10本の中の一本か。傑作。
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