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山河ノスタルジアのmuraのレビュー・感想・評価

山河ノスタルジア(2015年製作の映画)
4.3
中国の市井の人々を取りまく社会や生活の環境が知りたくて、そしてその中で人々が何を思うのかを感じ取りたくて、ジャ・ジャンクーの映画を見ている。それがリアルに映し出されているように思えて。

1999年、大きな経済発展を遂げる前と、2014年、大きな経済発展を遂げている最中と、2025年、大きな経済発展を遂げた後(と思われる)と、人々の価値観が揺れ動くさまを描く。

カネやモノが手に入ることが一番の幸せなのかといった、おそらく今の中国が切実な問題として抱えていて、日本を含む世界の国々も普遍的に抱えている葛藤への問題提起ということか。

なんてかしこまって見たものの、そんなことを超越した、純粋なヒューマンドラマが描かれていた。それは市井の人々の話でありながら、激動の四半世紀における「大河」ドラマであって。何度も登場する黄河に象徴されるような。

最後の印象的なシーンがそう感じさせた。

ジャ・ジャンクー作品の中ではわかりやすく、寄り添いやすいものだと思った。かなりノレた。
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