のら

東京無国籍少女ののらのレビュー・感想・評価

東京無国籍少女(2015年製作の映画)
2.5
押井守の実写映画。押井守監督作品の傾向として基本的にアヴァロンのバリエーションである事が多く、本作もその流れを組んでいる。アヴァロン系の話の特徴として、アイデンティティに自身を持てない主人公が仮想現実(戦争のメタファー)でアイデンティティを確立して現実世界に戻ってくるという、若干胡蝶の夢テイストの話なのだが、本作はそれが逆転しているのが特徴になっている。

そのため映画の大半が夢に当たる奇妙な女子高生活に割かれており、基本的に何も起きない。この何も起きない居心地の悪さがホラー演出としては機能しているが、アイデンティティの欠落という面では機能不全を起こしている。

反面終盤のアクションシーンはすごくて清野菜名の演技は称賛に値する。

結局の所本作は押井守の得意とする分野と不得意とする分野が併存する形となっており、ボリューム的に不得意分野の方が圧倒的に多いため残念な映画になっているは居るが、クライマックスの清野菜名によるアクションシーンの為だけに見る価値のある映画になっている。
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