リッキー

天使にショパンの歌声をのリッキーのレビュー・感想・評価

天使にショパンの歌声を(2015年製作の映画)
3.1
993本目。190401
1960年代、修道院が経営する名門女子校が財政難に陥り、廃校の危機に直面します。
そんな中、校長の姪が転入してきます。彼女は音楽の才能が非凡ですが、素行に問題があります。校長は叔母としての立場から姪を心配する一方、音楽の力で世間に学校の存在意義をアピールしていきます。
このように校長には二つの大きな問題が同時期にのしかかります。

ストーリーの面では少し物足りないというのが率直な感想です。
半強制的に寄宿学校に入学させられ、 さらに母が闘病していることから思春期の少女が心配のあまり心を閉じてしまうというのはよくわかります。しかし、その気持ちを音楽にぶつけるというのは、少しありきたりな印象を受けました。
もっと姪の心情が表現できたらよかったように思います。

また、学校の運営についても、校長は修道院の本部と決裂してまでも存続のために力を注ぎますが、もっと上手に立ち回れたのではないでしょうか。
全体的にさらりと描かれていて、深刻な状況がわかりにくかったです。

さらに映像の面でも、残念なことに、雪で覆われているため折角のケベックの世界文化遺産であるカトリック大聖堂などがよくわかりませんでした。資金難を強調するため灯油代のエピソードを入れたかったから冬の設定にしたのでしょうか。

ただ生徒たちの歌声とピアノの音色は素晴らしく、ずっと聴いていたかったです。
心地よい音楽を堪能できることがこの作品の見どころでした。
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