てつこてつ

ジーザス・クライスト・スーパースターのてつこてつのレビュー・感想・評価

4.3
この作品は、後に「エビータ」「キャッツ」で一躍名を挙げるアンドリュー・ロイド・ウェバーとティム・ライスのタッグによる1971年初演のブロードウェイミュージカルの映画化作品。中東の砂漠地域でのロケ撮影が美しい。

ストーリーは敢えて語らずとも、余りにも有名なイエス・キリストの最後の七日間を描いたもの。この作品で素晴らしい点は、一般的にユダがイエスを裏切った悪者として一方的に解釈されているのに対し、ユダはイエスを敬愛するがあまりに、もしくは民衆の偶像として崇めたてられてしまったイエスを救いたいがために、客観的に裏切り行為に出たという形で描写していること。

代表する楽曲「SUPERSTAR」では、イエスをスーパースターと称するのはあまりにも俗物的ではないかと批判が噴出したというのも、有名な話。

また、ユダ役にアフリカ系、マグダラのマリア役にアジア系をキャスティングするなど、1970年代の作品としては色々な意味でチャレンジしているので、敬虔なクリスチャンが作品に対して眉をひそめたというのも理解はできる。

この作品、セリフは一切なく、すべて歌だけで進行していくので、聖書の教育など受けていない日本人には、やや理解しづらい部分も多い。興味のある方は、遠藤周作の「イエスの生涯」を是非読んでみることをお勧めします。読後にこの作品を見直すと、色んな事が理解できますよ。

ちなみに、この作品のアンチテーゼは、メル・ギブソン監督の問題作「パッション」かな?あっちはあっちで一見の価値あり。
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