るる

たかが世界の終わりのるるのネタバレレビュー・内容・結末

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ドランとは音楽の趣味が合うんだよ、サントラが好みな映画、生きていく上での重要なスパイス。

美しい家族、美しくて明るい地獄の連続、美しい滅び。

久しぶりに再会した家族劇、会話劇としてのレベルが高すぎる。ツボの押さえ方がすごい、『トムアットザファーム』はピンとこなかったんだけど、完成度の高さはわかった、ほんと、ドランって、なんでも撮れるんだな!?

ドランのミューズとしての、あの母親、あの憎らしくも憎めない強烈な母親の、義理の娘となる、あの家の嫁になるのはまた大変、という映し出し方、ちょっとすごかったな、

義理の姉との会話の危うさ、
実の妹との会話の危うさ、

いたたまれなさがリアルすぎてすごい。

でも、この、望む形での理解は得られないが、愛されてはいる、家族として受け入れられている、という、母親からの言葉、前半の描写が浮き彫りになって、迫ってきた、

『わたしはロランス』の冒頭の台詞「私は私の言葉と同じ言葉を話し、言葉を理解する者と出会いたい」という理解されないことへのもどかしさから『マザー』の母の愛の描写を経て、ここに到達した、という感じがした、

ヴァンサンカッセルが好きなヴァンサンカッセルだった、

あの家族といると、ひとりの時間が欲しくなるよね、という、ただそれだけの、どうでもいい話を、早朝に到着して空港のカフェで過ごしていた、兄にだけ話す、秘密の素敵な話として話したつもりが、回りくどいと怒りを買う、
でも、あの話ぶりは「日曜日」の話をしたがる母親に似ていていて、言葉の揚げ足をとる兄の口ぶりはきっと、名言を作るのが好きだったという父に似ていて、

あの、みんなどこかしら家族としての共通点がある感じ、ほんと上手い。

理解ができないから美しいんだ、
喝破、

光が美しくて、澄んでいて、

世界が終わるわけじゃない、と言ってみるけど、でも終わる。

次は大丈夫だから、
次なんてない、
秘密だよ、と、人差し指を、

小鳥、煙草、

たかが世界の終わり、

終わり。

冒頭テロップ、
しばらく前に世界のどこかで

彼はもうこの世にいない、ということ。
一言で済むような重要な話を回りくどく、どうでもいいように話す彼の話法。
るる

るる