Soshi

500ページの夢の束のSoshiのレビュー・感想・評価

500ページの夢の束(2017年製作の映画)
3.0
自閉症を抱えるウェンディがロサンゼルスまで1人で旅をする話。お気に入りのスタートレックシリーズの脚本コンテストに参加するためである。応募要項は、期日までに「郵送」すること。彼女がロスまで旅をしなければならなくなったのは、その郵送に間に合わなくなってしまったからだ。スタートレックの知識は誰にも劣らない彼女の渾身の500ページの脚本を届けることができるのか。という作品。

ロスまで数百kmもあるのに、たった1人(+犬1匹)で旅に出ようと言う覚悟に彼女のスタートレックへの思い入れがうかがえる。本作品には主人公の少女(21歳)の他に、少女の姉、施設の先生と高校生の息子が主な登場人物になっている。主人公は姉に会うと緊張してトイレに行きたくなってしまうという。昔は仲良く過ごしていたのに、2人の間には何故か隔たりがあるようだ。一方、施設の先生と息子の関係にも1つ垣根がある。施設につきっきりで息子に目をかけてあげられていない様子。そのせいもあり、息子は高校をサボってしまう。そしてサボった息子を叱ってさらに息子の鬱憤は溜まっていく。

本作は自閉症の主人公の成長を見守る物語でも、脚本の提出に間に合うのか!という観客にハラハラドキドキ感を与えるだけの物語ではない。主人公の旅を通して、主人公と姉との関係、施設の先生とその息子の関係。この2つのグループの成長物語になっている。互いに寄り添い、関わり合い、関心し合うことで関係が成り立つことを知る、そんな心温まる物語である。

こういう旅の途中には不運は付き物なのは知っているけど、少しかわいそうになった。知り合ったおばあちゃんのように私はなりたい。というか、あのおばあちゃんはあの後大丈夫だったのか…
Soshi

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