「スタイリッシュドイツ映画」
W.W.Ⅱ終戦後、生還した元歌手のユダヤ人女性と、容貌の変わった彼女に気付かない夫の関係を描いた心理サスペンス。
映像で観てる分には、なんで気付かないの?って思うけど…それはあくまで観客に対する「魅せ方」というだけで、本作のメインはそこじゃないのかな。
戦争を通して深く刻み込まれた、表面上の傷と、内面の傷。
そして考える、自我の存在。
そんな自分自身を取り戻すための執着は、ある種怖さも孕む…。
ただ、ラストで確実に彼女だ!と気付くみたいな演出があるけど…もしかしたら夫は途中で気付いてはいたんじゃないかなと思ったり……。
彼女の方も、もう1人の女性と、同性愛であるような雰囲気を醸し出したりするし…。
全体的にややバラバラな様子はあるけど、決して駄作ではない。
目に見える対象じゃなくて、その奥の心理描写に注目したい。