Tラモーン

無頼漢 渇いた罪のTラモーンのレビュー・感想・評価

無頼漢 渇いた罪(2015年製作の映画)
3.8
久しぶりのドヨン姉さん。
やっぱりお美しい…。劇中で「盛りを過ぎた女」呼ばわりされてるけど、いやいやいやいや…姉さん本当にお美しいです。愛してます。

殺人犯の恋人と、その殺人犯を追う刑事の悲しいラブストーリー。
間違いなくお互いに惹かれあっているのに。自分自身の気持ちも、相手の気持ちもお互いにわかりあっているのに。ほんの少しだけ素直になれなかっただけなのに、辿り着いた結末はビターどころかショッキング。
ともすれば荒唐無稽なメロドラマにもなりかねないこのラストシーンに説得力を持たせているのはやっぱりチョン・ドヨンの圧倒的な演技力と、やり過ぎをやり過ぎと感じさせない韓国映画特有の観せ方なのかなと思う。

多額の借金を背負い、さらに賭博癖のあるロクデナシ恋人の借金まで肩代わりさせられながらも慎ましくバーのママとして働くヘギョン。この手の役をやらせたらドヨン姉さんの右に出る者無し。
その恋人が殺人を犯したことから、潜入捜査としてバーで働きヘギョンに接近していくジェゴン。キム・ナムギルは初めて観たけど、韓国には珍しくパッチリ二重系の可愛らしいイケメンという印象。

お互いに負い目を感じながらも惹かれあってしまう2人。
始めて2人でツケの取り立てに向かった先で、客の社長に啖呵を切るヘギョン。八方塞がりとも言える人生にも関わらず懸命に生きようとするヘギョンの姿にジェゴンは胸を打たれたのか。
帰り道の公園でタバコを回し吸いする2人の距離感がほろ苦さと初々しさの両方を感じさせる。

本当に恋人を信じて海外逃亡できるのか、ジェゴンに惹かれつつあったヘギョンが暗闇で焼酎をロックでやりながら氷をガリガリ頬張るシーンが印象的。憔悴するほど悩む演技をここまで魅せられるなんて…。さすが姉さんです。
「仕事も奥さんも忘れて飲みに行く?」
姉さんにそんなこと言われたら人生ほっぽり出して一生付いていきます…m(__)m

初めて2人が身体を重ねた翌朝の空気感がまたほろ苦い。通い合ったかのように見えた2人は、やはりお互いのしがらみに囚われ素直になることはなかった。心を開きかけたヘギョンと朝食を残して出て行くジェゴンが切ねえ。

「私と暮らす話は冗談よね?」
「俺を信じるな」

なんでそこで素直にならないかな、もう!

ヘギョンを幸せにしたかったジェゴン。ジェゴンに助けてほしかったヘギョン。すれ違ってしまった2人の心はもう交わることはなく、それでもヘギョンを思うジェゴンのみっともなさが男の悪いとこ丸出しで胸が苦しい。

「せいぜい幸せに生きろ」
本当はお前が幸せにしてやらなきゃいけなかったんだぜ、バーカ。

ドヨン姉さん好きの贔屓目は明らかに入ってますが、フィルマの評価以上に素晴らしい作品だと思います。
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