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ディーパンの闘いのyumeayuのレビュー・感想・評価

ディーパンの闘い(2015年製作の映画)
3.0
戦う管理人

2015年のパルムドール受賞作。
内戦下のスリランカから逃れるため、まったくの他人である女性と女の子を連れ疑似家族となり、フランスに難民としてやってきたディーパン。
ようやく平和な暮らしが取り戻せたかのように思えたが、そこは言葉も文化も違う異国の地。
そして、同じスリランカ人とはいえ、血の繋がりはおろか何の縁もない者どうしが、ひとつ屋根の下で暮らす難しさ。それでもディーパンは生活のため、ひとり黙々と団地の管理人として仕事をしていくのだが、そこに新たな問題が発生し…。

いくら戦争がない国に来たからといって、平和な生活が送れるのかといったら、そんな単純な話ではない。
内戦が激化するスリランカからやっと逃れてきたのに、挙句たどり着いたのが日常から銃弾が飛び交う治安最悪の集合住宅地。フランスはヨーロッパの中でも積極的に難民を受け入れているが現実はとても厳しい状況のようで、貧困や格差は広がるばかり。パリってどこいってもオシャレな街なんだと思っていたから、こんなスラムのような地域があることに正直びっくりした。
そんな場所で、ディーパンたちのような難民はもっとも力の弱い立場であり、毎日の生活すらままならない。
それに加え、これまで感じることのなかったであろう差別や偏見とも戦わなくてはならない。戦場とはまた違った意味での戦いが待ち受けていたのだ。

恥ずかしい話だが、この映画を見るまではスリランカの内戦のことも、パリにこんな貧困地域があることも知らなかった。平和ボケしているな。
正直なところ、パルムドール受賞作だからといって、映画として面白いかといわれると微妙なところではあるが、近い将来、日本でも難民問題は身近なものになっていくだろうから、こういった問題意識を持つためにも今作を見た意味はあったかなと思う。
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